#5 友達
最初は皿洗いとか、絵の具やキャンバスの補充とか、雑用ばかりだった。作品を制作している時はすごく静かなのかと思いきや、いつでもガヤガヤとしていて、お互いのインスピレーションを養っているらしい。
十数人いる兄弟子と一緒に寝たり、食事をしたりしていると、最初は戸惑っていたけどこの環境にも慣れてきた。
「あの、マシロさん」
この人はマシロさん。
僕と年齢は結構近いけど、ここにいるのも結構長いらしい。
「あの、画家さんについて教えてくれませんか? 『終わりの地』では街の情報は流れてこないので」
「分かった。あとでオレの部屋に来て」
「ありがとうございます」
「敬語なんかいいよ。ルラは『同じ弟子』だからな」
「……分かった」
「友達だと思ってくれていいからな」
ニコッと笑った。その姿はどこかライカにも似ている。
あいつがマシロと同じくらいになったら、こんな風なのだろうか。
お母さんは大丈夫だろうか。体を壊していないだろうか。
砂漠化していて、水も少ない。だからこそ、あの「終わりの地」はみんなで協力して成り立ってるから、いつでも配達したり、伝言を頼める僕がいなくなったところで、いきなり仲間外れにはならないと思うけど。やっぱり心配だ。
最後まで読んでくださりありがとうございます。