#4 決別と決意の新生活
「お母さん、お客様だよ」
呼びかけると、お母さんがタオルで手を拭きながら出てきた。
「まぁ、どちら様でしょうか?」
画家さんが説明をする。
「それで、お宅の息子さんを私の弟子にするのはどうでしょうか?」
お母さんは熟考している。僕は目で必死に伝えた。「ダメだよ」って。お母さんは体が弱いから。
でも、ふっと頬を緩めて僕に微笑んだ。
「ルラ、行ってらっしゃい。綺麗な絵をたくさん教えてもらってね」
「え、でも――!」
「お母さんは大丈夫よ」
また笑っている。
「…………分かった」
「ありがとうございます、お母様。それでは、息子さんはこちらでしっかりと預かります」
「じゃあな、ルラ!」
「ライカ、嬉しそうだね」
「もっちろんだぜ! 友達がやりたいことやれるんだからな。頑張れよ!」
画家さんに連れられ、初めて城の近くまで来た。
「ルーカスさん、そちらの子は?」
「私の新しい弟子です。素晴らしい絵を描くんですよ」
色んな人が歩いているけど、『終わりの地』の僕を侮辱する人も、嫌そうな顔をする人もいなかった。
この画家さんは、ここら辺でとても信頼されているらしい。たくさんの人が話しかけに来るし、僕のことを画家さんが話せば褒めてくれる。
「さあ、ここが私のアトリエだよ。君よりも年上の弟子がたくさんいるから、まずはその人たちに色々と教えてもらうといい」
「分かりました」
――城の近くにある大きな家、そこで僕の「画家の弟子生活」が始まった。
最後まで読んでくださりありがとうございます。