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#30 最期まで君は……

「さてと」


 次の日の朝、僕は荷物を持って国王の住む城まで出向いた。

 堂々を歩いていても、誰も僕に見向きすらしない。きっと、時間が解決したのだろう。


「おい、名前を言え」


「ルラです」


「貴様は何をしに来た」


「珍しいものを見つけたので、国王に献上しようと思いまして」


「……そうか。ちなみに、その珍しいものとは何のことだ?」


「はい、メデューサの頭部です。僕も見つけた時は驚きましたが、知り合いに聞いたところ、完全に首から切り離された頭部の場合、石化する心配はないようですので、持って参りました」


「ふむ。分かった、少し待っておけ。国王に話を通す」


 少し待っていると、戻ってきた。


「今日は城に見学に来る奴が多い。直接国王のいる間に通すように言われた。俺についてこい」


 落ち葉が大量に溜まっている細長い通路を歩く。城の兵に沿って歩いているようだ。誰もいないその道を歩いていると、城の中に入る裏門を入った。


「何も触るなよ。もし何かを壊したら、お前が一生はたき続けても弁償できない額だからな」


 そう言って睨む門番に、僕は笑い返した。


「ええ、もちろんです。触るつもりは一切ありません。それに、僕は画家の見習いです。他人が丹精込めて作った作品を壊すことは致しません」


「そうか。ところで、貴様の持っているその首とやらは、どこから持ってきたんだ」


「私の住んでいる村の近くにいました」


「そうか。ほら、着いたぞ」


 広間に入ると、国王が豪華な椅子に座っていた。でっぷりをしたその肉をいくらか切って、あの『終わりの地』にいる貧しい彼らに分けてやったらいいのに。そうした方が健康的だろ。


「お目にかかれて光栄です、国王」


「かしこまらなくともよい。ところで、その『メデューサの首』というのは、君が抱えている袋の中だろうか?」


「はい、こちらです」


 ロンバートさんが遺した金を入れていた麻袋の紐をほどく。


「素晴らしい!」


 国王は子供のように目を輝かせている。


「いやぁ……ルラと言ったね? たんと報酬を支払おう」


 国王がそう言った時、さっきの門番が口を挟んだ。


「国王、この者は画家の見習いと聞きました。彼を専属の画家としてやっと手はどうでしょうか?」


「おぉ、そうかそうか。では、君が望むのであれば、雇ってあげよう。もちろんその報酬も他の芸術家たち同様支払う」


「ありがとうございます。ですが、一つ条件があります」


「ふむ……その条件というのは?」


「この首は、私自身とても気に入っています。ですので、私に管理を一任させていただきたいのです」


「それだけかい?」


「はい」


「ははは! 分かった、大切に保管してくれ」


「はい、もちろんです」


「早速、君専用の部屋を用意しよう。これからはそこで生活してくれ」


「分かりました」


 こうして国王と握手し、僕は城の中にある研究チームに入ることになった。城の中の僕の部屋は、広くはないが居心地がいい。


 石像と化した首を見る。


 ルーンには感謝しているよ。最初はラングのせいでかなり警戒していたけど、アトリエから逃げた後は信用してくれて、僕にずっと尽くしてくれた。


 でも、君は致命的なところがある。それは人間じゃないってこと。

 だから、ラングにも君の「石化」の能力を悪用されたし、ずっと目を隠さないといけないし。


 君の母親と死別してから、君の運命は変わったんだ。

 少なくとも僕は違うけど。君は本当に僕を好いていたのかも。だから、僕について来てくれたんだろ。それに関してはとても嬉しかったよ。


 さてと、もう君は片付けようか。「石の塊」と言えども、欠けたら大変だから。











 ――最期まで君は……奴隷だった。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] はあぁぁぁ、そうなるのかぁ。 う~ん皮肉が効いてるなあ…という印象。 [気になる点] “それは人間じゃないってこと”ということで、表現は悪いけど奴隷よりも『自分のために育てて殺す』家畜の…
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