#28 儀式をしなくとも
「……ルラさん、明日ですね。結婚の儀式」
「そうだね。それと、ルーン。僕の横にずっとナイフがあるけど、これは護身用だから気を付けて」
「何かあるんですか?」
「たまにイノシシが入って来るらしいんだ。『何もしなければ攻撃しないけど、もしものために持っておけ』って、ルーンが料理している時に、アメリさんが渡してくれたから」
「分かりました。でも、私よりもルラさんの方がナイフに近いので、ルラさんも気をつけてくださいね」
「もちろん」
「それでは、おやすみなさい」
「おやすみ」
この村に来てから初めての夜、ルーンは母親とすんでいた家と環境が似ているらしく、すんなりと寝ていた。
ルーンが隣にいるといつも思う。僕は化け物が嫌いだ。得体の分からない者はすぐに始末してしまいたくなる。
でも、ルーンは違う。他の人からすれば「化け物」になるかもしれないけど、彼女は珍しい。ずっと手元に置いていたくなる。
ルーンも僕にずっとくっついてくる。人に好かれるようなタイプじゃないのに。ルーンもライカと同じで物好きな人間だ。
「ふふっ……」
寝言で笑っている。どんな夢を見ているんだろうか。そして、明日は儀式だ。明日の夜、寝ているルーンと「ずっと一緒にいる」というのがこの儀式である。どこにも行かず、ずっといるというのだ。
もちろん、そんなことしなくとも僕は「ずっと一緒にいる」つもりだ。当たり前だろう。
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