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#24 先回り

 ロンバートさんは、ラングとは違って風景画や抽象的な絵画を描いている。はっきりとした原色をあまり使わず、フワッとした雰囲気のパステルカラーをふんだんに使っている。


 ルーンはロンバートさんの作品の方が好きらしく、僕たち人間がいない時はいつもじっくり魅入っている。


 それに加えて、ロンバートさんは「写実的な絵画」を描いてきたラングをこう言っていた。


「本物を追い求めても、結局は『本物』が至高になるんじゃ。それを超えることはできん。そんなことは、若いわしでもとっくに分かっとったからの。だから、抽象画を選んだんじゃ。同じテーマを何回選んだとしても、感じ方が違うだけでいくらでも違う作品になるからの」


 ロンバートさんの言っていることは確かにそうだった。今にも手に取れそうなものを描いても、それはただの平面に書かれた立体で、それ以上でも以下でもない。


「ルーンは、ここの間取りを覚えたかの?」


「少しおぼつかない所もありますが、ゆっくり歩けば大丈夫です」


「それは良かった」


 僕たち三人の生活はずっと変わらず、面白みも刺激もないものだった。でも、『終わりの地』やアトリエにいた時よりも生きているという実感を感じる。


 ただ、一つ問題がある。ロンバートさんも妻だったアリサさんと同じ病に侵されているということ。


 見つからないようにここにいるのに、ロンバートさんが死んだらどうするのか。何も食べずに生きれるわけがない。


 どこか行くにしても、都合よく拾ってくれる人がいるだろうか。他の地域は、もっとメデューサを化け物扱いしていると聞いた。


 まだ元気そうだし、そんなことを心配してもどうにもならない事でもあるが、いきなり死ぬ場合だってあるだろう。人間なんだから。その場合も考えておかないとな。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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