#21 街の騒ぎ
「行ってきます」
画家が散歩に行った。僕はあらかじめ昼にまとめた荷物を持って、地下へ向かう。出来るだけ軽くしたから、後々の負担も少ないだろう。
「ルーン、絶対に僕を見ちゃダメだよ」
黒い布越しにルーンに語りかける。
「はい、私はルラさんが後ろに隠れてから、ずっと真っすぐ見ていればいいんですよね?」
「そう。画家がドアを開けたと同時に、僕が布を後ろに引っ張るから、画家が完璧に動かなくなるまで、ルーンも動かないで」
目隠しの布を外しながら言う。
「分かりました」
「ルーン、目を閉じて。覚悟はいい?」
「はい」
「よし、後ろに行ったから目を開けていいよ。あと二時間くらいはこのままかな」
「あの、少し話していいですか? 何かしていないと、落ち着かなくて」
「いいよ。誰も来ないし、暇だしね」
僕がそういうと、ルーンは身の上話をし始めた。
「――私、お母さんが大好きでした。人は私やお母さんのようなメデューサの血が流れているものを怖がるけど、とっても優しかったから。
だから、ずっとこの生活が続くと思っていました。でも、ある日、画家さんが現れました。家に来ては、私達に酷いことをする人がたくさんいたから、お母さんは私を物置に隠してから応答したんです。
その時、私は家に来た人がどんな人なのか気になって、扉を少しだけ開けて覗いてみました。よくいるような、普通の人、でした。今と大して変わりません。
でも、画家さんはいきなり鏡を取り出して、お母さんに向けたんです。物を石化させる能力は、同じ血を持つもの以外であったら、どんなものにでも使えます。しかし、自分自身の能力の場合は固まってしまいます。
お母さんを助けるために、私は外へ出ようとしました。でも、お母さんが叫んだんです。
『出て来るな!』って。だから、私が今ここにいるのも、全部自分のせいなんです。隠れたままだったら、ここにいなかったかもしれませんが、後悔はしてないんです」
「ふうん」
僕は時計を見ていた。時計の針がカチカチと動いていく。
ルーンとここに出られたら、どうなっていくんだろうか。弟子の皆には申し訳ないな。あんなことをしていたとはいえ、みんな尊敬していたんだから。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
すごいって思った人がいなくなる時の辛さ、私は結構わかりますね(((uдu*)




