#2 千載一遇の大チャンス!
「おーい、ルラ! っと、ルラの母さんもこんにちは!」
「ライカ君、いらっしゃい。どうしたの?」
「今日の一時から、ルートっていう画家がここに来るんだって! じいさんも画家に案内するって張り切ってた。ここに住んでる子供の絵を描きたいのと、ここら辺の風景が描きたいんだって。ルラは絵を描くのが好きだから、一緒に誘おうと思って」
「あら、そうだったのね」
「今日は無理。リングさんに野菜届けることになってるから」
「えー、残念」
こいつはライカ。僕の友達だ。そもそも、ここにいる子供は僕とライカと、最近新しく来た子が何人かしかいない。
「ルラ、行ってらっしゃい。こんな機会、滅多にないわ」
「え、でも……」
躊躇していると、お母さんは僕の両手に肩を置いた。
「いいのよ。リングちゃんには私が届けておくわ。ほら、もうすぐで一時よ。二人で行ってらっしゃい」
「ほら、ルラ、行くぞ!」
「え、うわぁ!」
強引に手を引かれて外に出る。
「えっとな! じいさんは自分の家の近くにいるっつってた!」
「はいはい。そんな声出さなくても、ちゃんと聞こえるってば」
ライカが「じいさん」と呼んでるのは、ここの村長。頑固な人で、「じいさん」呼ばわりしようものなら、すぐに怒号が飛んでくるけど、なぜかライカには甘い。
「あっ、いたいた。って、ヤベッ! 画家もじいさんももう会ってる!」
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