#18 人は恐れ、怪物は求める
「おっ、元気になったみたいだな」
「もう大丈夫」
いつも通り過ごしていよう。夜までは、獲物を待つ虎のように。えっと、朝食の用意、買い出し、画材の補充……一日動いていないだけで、何をしないといけないのか忘れそうになるな。
今日も相変わらずここはうるさい。みんなマシロが元気に《《行った》》と思っているのだろう。まあ、知らない方が良いことなんだろうけど。
「さてと、皿洗いするか」
積み上げられた皿を一枚ずつ水で流し、洗剤をつける。
――すると、後ろから弟子の一人が何か言っていた。
「お前、知ってっか? メデューサ一族の話」
「ああ、あれだろ? メルント森の奥に住んでたメデューサの女が、最近見つかったってヤツ」
「そうそう! しかも死んでてさ。その女ともう一人いたらしいけど」
「ソイツの家族だろうな。普通の人間と暮らせるわけないし」
――メデューサ、瞳を見たらたちまち石化する。今から一千年くらい前に政府から派遣された剣士たちが、メルント地方の森にいたメデューサの一族を全て幽閉したらしい。でも、それらを殺したわけではなく、そこで生き続けて、今から五百年前に突然変異で生まれた人間の姿のメデューサがこの王国へ来た。
石化。もしかしたら、その突然変異のメデューサが地下にいる……? 耳鳴りだと思っていた金属音も、もしかしたら、そのメデューサを拘束するための物だろうか。
でも、メデューサは決して皆が人間と敵対するものじゃない、と聞いたことがある。乱暴なものもいるが、ほとんどは優しいって。
人はその能力を恐れるが、メデューサたち自身は共存を求めているらしい。人間すらも拘束するこの国じゃ、それも無理だろうけど。
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