#16 サナ・テライ
「お、おい、ルラ。顔色悪いぞ」
「だ、大丈夫……です」
「今日は休んだ方が良いぞ。画家さんには言っとくから」
「分かりました。ありがとうございます」
部屋に戻り考える。余っていた部屋が一人部屋で良かった。
……あの絵画の人、リコ・エイルさん。それとマシロが固まった瞬間のことがグルグルと巡る。もう、助けられないのかな。
画家さんがマシロに見せたもの。それ……何だろう。今思えば、マシロはあれを見た瞬間に固まった。それが分かれば被害者は出ないかもしれない。
……僕が止めないと。このことを知ってるのは僕だけ。きっと他の弟子に言ったって、町の人に行ったって信じてくれないだろう。なんたって、みんなの思っている「画家さん」は、この街では「聖人」のような扱いをされている。
僕が商人の息子だったならともかく、『終わりの地』から画家さんに拾われてきた、と思われても仕方のない僕が言っても、意味がない。このままじゃ、僕が『画家さん』を侮辱する悪者になるぞ。
「――僕が原因を潰さないといけない」
人のために何かするということはあまり好きじゃない。
ましてや、ここは『僕たち』に対する偏見や差別まみれのところだ。今までさんざん酷い事されてきたのに、僕がここにいる人を助ける。そう考えると、すごく嫌だけど……でも、マシロをあんな風にしたのは許せない。
「サナ・テライ」
『終わりの地』に伝わる、死者を弔うおまじない。呟いた後、絶対にできるという自信が湧いてきた。やり遂げなきゃ。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
さて。「サナ・テライ」は私が作った架空のおまじないですが、この言葉に少しギミックを加えてます。
ちゃんとした謎解きでもなければ、しっかりとしたヒントでもないです。
「どんな人でも上を見たがる。本当の世界も知らずに」がヒントにしておきましょうか。




