Re:スタート
さて、また長い月日が経ってしまったような気がするが、そんなことは全然無い。
決してこの先どうやって魔王国再建したらいいのかとか、勇者への復讐の作戦が思いつかないとか、そういう訳ではないのだ。
ワシに不可能なんて無いんだから。ふんすふんす。
さて、状況を整理しよう。
今ワシらが置かれている状況を。
優秀な執事悪魔のサイモンいわく、RPG的なステータス表記に置き換えるとするならば、今は以下のようになっているそうだ。
【魔王国クラルク】
支配地:0 (首都無し)
戦力:魔王1名、悪魔2名、ゴブリン3名
「コボルトや一部のゴブリンは傷痍兵で戦闘には耐え得ない為、戦力として数えておりません」
「なぁ…これ、詰んでおらんか…?」
「ええまぁ、正直に申し上げて宜しければ、お手上げの状態と評価してしまって良いのではと」
そ、そんな…
全然違うじゃん!
サイモン言ったよね、
「如何に強力な加護を受けている勇者が相手であっても魔王様が負けるはずがありません」って…
この結果は何っ!?
「…歴代の魔王様方にありがちな戦力の逐次投入、所謂舐めプをして勇者を強くし過ぎてしまった。
当然の結果です」
……っ! もういい、ワシ魔王辞めるっっ!!
「楽しそうにコントしてる所悪いがよぉ、“元”魔王様。これから俺たちはどうしたらいいんでさ?」
まあ、問題はそこなのよ。
これから人間達の生存圏から離れて、少しずつ時間を掛けて復興する事も出来ない事も無かろうが。何よりも人材が足りんのじゃよね。
「あっ、あんっ♡そこ♡すごくイイのぉ…♡♡」
「…ゴブリンから精を搾り取るのは良い、だが時と場所を選んで欲しいんじゃがなあ!?」
「えぇ〜、だってぇ、どうせボロ屋か外でするしか無いんですからぁ、どっちでも同じじゃないですかぁ〜♡」
「せめて別のところでやらんかい!しっしっ!」
どう見てもただ乱○セッ○スしてるようにしか見えない奴らを外に追い出そうと、リリスをぺしぺし叩くのだが…。
「あんっ♡♡まおーさま、もっとつよくぅ♡♡」
(…イラァ…)
発情している淫魔は交尾する以外に頭が回らんのか、それともリリスだけの性分かはよく分からんが、本当に始末が悪い…。
「……はぁ。サイモン、後は任せるぞ」
「はっ」
ボロ屋を出て外を眺める。
変な気に当てられている場合ではなくまじめに考えねばならないのだが…。
実のところ、ワシの中ではどうこの先生きていくのか決めてある。
国を興すには、人材、経済力、資源、立地の善し悪しなどが必要になる。
そこで更に前提条件として必然、必要となるのは…。
人脈と、軍資金…かの。
~~~~~~~~~ ( ゜д゜ ) ~~~~~~~~~
ワシの計画は、こうである。
まず、人間界にうまく溶け込み、冒険者などをやりながら、人脈と資金を得る。
信用を得て説得を得ていけば、町ごととは言わずとも何人かの有力な組織的パワーを得られる可能性があるだろう。
ただ、問題は当座の寝泊まりや資金について、なのだ。
魔王国の国内でも経済活動はあったし、当然人間界における金貨に等しい貨幣、金属ではなく魔晶石と呼ばれる複数種ある宝石はあった。
ただ、これらは人間達の世界では希少性が高く、魔晶石の出処を疑われる。調べられれば、持ち主が魔族であるとバレてしまうだろう。
よって、簡単に換金するという事は出来ぬ。
わざわざ自分から不用意に死ぬリスクを侵すくらいならば、手持ちの魔力の予備として運用する方が、魔晶石の有効活用になる。
魔晶石はそういう使い方も出来る優れものなのだ。
どうやって人間の生存圏に侵入するか、だが。
これは造作無いことで、魔力を抑えるマジックアイテムで大体は何とかなるのだ。
というか、そうでもしなければ仲間まで皆逃げてしまうから仕方なくずっと身に付けていた。
それが仇になって、勇者と戦う時に外し忘れた致命的なワシの作戦ミスになってしまったのだがなあ…。
呪いのアイテムは瞬間的には外せないし、外すの忘れてたなんて言えない。
…うっかりで勇者に負けましたなんて恥ずかしいから、死んでも言えんし…!
ま、まあそういう訳で、やろうと思えば何とかなるのだ。ワシが魔王だというのを見て知っておるのは、勇者とその一味しかいないのだから。
そして人間の土地で活動するに当たってだが。
サイモンとリリス、その他の生き残りは見た目や能力や性格とか諸々で完全にアウト。
あいつらはワシに同行出来ぬから、別行動を取るしかない。
幸いにも、しばらく生き繋ぐくらいはできる最低限の環境はあるのだ。ワシが何とかするまで耐え忍んで貰うとしよう。
…
……
………
「という事で、聞け。今後の方針を簡単に言ってしまうとだな。」
「ワシ、魔王やめて冒険者になる!!」
何言ってんだこいつ、みたいな目で皆から見られて、それはそれで恥ずかしい思いをしたワシ。
理解のない配下たちでワシぁ泣きたいよ。




