ダンマスは下衆でゲス
読み切りダンジョンもの。
ほぼ世界設定しか語ってないし、ダンジョンの実況をしている様な内容となっております。
「今日こそどうだぁ!? ……………………ぬぐぅ! チックショーーーーーー!!!」
あまりにもベタすぎて、説明すら不要な中世風西洋ファンタジー系世界。
そこへ、この世界の神が死にかけの地球産男性を使命コミコミで、転生させた。
「畜生、課金だ課金。 オラ、金貨持ってけぇ」
その使命とは、異世界のダンションマスターになって、指定のダンジョンに挑戦者を多数呼び込むこと。
「うがぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛、なんでHRがでねぇぇぇえええ!!!」
……うるせえ。
こほん。 その男性が取った手段が、これである。
「くそ、クソクソ。 カネが溶ける……だがやめられねぇ。 ここで良い装備さえ出せれば、安全にもっといい生活が出来るんだぁ」
つまるところ、ダンジョン最深部にアイテムガチャを用意したわけだ。
ダンジョンマスターとなった男性は悩んだそうな。
「ううっ、この緊急用資金を、使っちまおうかぁ」
自分の作るダンジョンで、人死にを出したくない。
「あ……あああ。 最後にタワシって、どんなぁ…………帰ろう」
だからと言って弱すぎる魔物しか出てこないダンジョンでは、集客は限られる。
なにか集客の目玉となるものが欲しい。
「金貯めたら、また来るからなぁ! チクショーーー!!!」
運営の養分、有難うございます!! とても美味しかったです!!
最初はダンジョンを作るために必要なポイントの関係で、初心者用ダンジョンとして売り込むしかないが、以降の展開も欲しい。
だが初心者用ダンジョンしかないなら、成長した挑戦者はまず2度と来ない。
だから、客を逃がさない方法として、目玉が欲しい。
「今日こそ、良いもの出てきなさいよね?」
それで、まだ少ないポイントからなんとか出したのが、
「うっ……! 外れの駆け出し挑戦者用、携帯キャンプセット」
生活必需品系ガチャ。
これはとても喜ばれた。 普通に買うより安く揃えられる可能性があったから。
「いくつ有っても困らない……んだけど、どうしようかしら? いっぱい有るし、ダンジョン前の町で売ってお金にする?」
もし既に持っているものが出ても、こうやって近くで売ればある程度の出費を取り戻せるから、扱いに困る事は少ないのだ。
本来とは違うガチャの外れ景品としても、嫌がられる率が低くてとても頼れる良い品だ。
そして次に置いた種類は、
「今度こそ出てきなさいよぉ? アクセサリーガチャなのに、野外生活ばかり充実してもあまり嬉しくないんだからね?」
解説有難うございます。
「ぐはっ!? Nブリキのメタルカメオ」
とてもクラシカルなブリキロボの横顔が浮き出ている、マニアックなブリキ製カメオとなっております。
「これでも少しだけ頑丈になれる効果があるって言うけど、いくつ身に付けても全然実感がないのよねぇ」
アクセサリーガチャで出てくるアクセサリーは、全て特殊効果が付いております。
決して外れではありません。
「数が出回りすぎて、外れの代表格。 キャンプセットみたいに消耗品じゃないから、余ると買い手がつかないのよねぇ」
ぐふっ!? すみません、計算違いです。
今度同名でもデザインを増やすとか、効果が同じ別アクセを考案しますので。
「気を取り直してっと。 さあ、来い来いレアなアクセサリー!」
こうやって、小間物だから使うポイントが少なくて済む、でも便利な物とかから増やしてダンジョン運営は順調だった。
しかもログインボーナスみたいに、ダンジョン最奥のガチャルームでは1日1回ウェルカムガチャをさせ、ガチャへの忌避感軽減をさせるのでリピート率は高い。
「……なにこれ? 町でまとめた景品情報に無い、真珠のネックレス? でもネックレスと言うには小さくて、変なデザインだわ」
あ、それ数珠です。 致命的ダメージを1度だけ回避できる、HRですよ? レアですね、おめでとうございます!
「まあ、真珠のブレスレットとか言えば、貴族の小さい子用に親が買うでしょ」
あ゛あ゛あ゛!! もったいねぇ!!
自分で使えよぉ!!
~~~~~~
それで防具ガチャ・武器ガチャ、それぞれの細かいカテゴリーガチャと、その後も増やしていく男性。
高レア品の質は冗談抜きで高性能、ここで引き当てた強武器によって、ダンジョンドリームを掴んだ噂は枚挙にいとまがない。
そのガチャ景品の質に魅せられ、ドンドコ課金沼へと自分から潜っていく客達。
中には貴族が自力で良いものを引き当ててやると、乗り込んできては爆死する光景も見られるようになったと言う。
なお、そのガチャに天井は有りません。
排出率公開すらしてません。
最高レア排出率なんざ小数点二桁とか行ってたり。
10連ガチャで1回追加サービスもあるが、実はその1回は確実にありふれた物が出るよう調整されているし。
天井が無いくせにコンプガチャ~とかぶっこんでくる外道だし。
このダンションマスターとなった男性は、ガチャの暗黒面ばかりを前面に押し出し、常連客を獲得した。
少し前に語ったダンジョンドリームだが、本当に掴んだ者は10人居るかどうか。
だが挑戦者の総数は、万倍では済まない数である。
噂は噂であり、噂の発生源が特定出来ないなんてザラだ。
でもドリームを掴んだ者は実在しているので、噂の否定は難しい。
…………うん。 控えめに言ってゲスだわ。
「へっへっへ……。 今回は3年位普通に暮らせる金を用意したぜぇ? だから当たりを出せよ、なぁ?」
今日もガチャダンジョンは盛況である。
「チックッショーーーーーーーーーッ!!!」
神がなぜ指定のダンジョンに人を集めろと使命を下したのか?
そこに集まる力を、世界の維持に使いたかったから。
でも作品の流れ的に言う隙が無かったので、ここで。
小ネタとして、集金しまくったお金は神が、ほとんど上前としてはねております。
はねた金はどこへ?
ガチャダンジョン以外のマスターへ還元。
支援金としてだったり、ダンジョン内で採れる鉱物資源だったり。
それなので手元に残る分を具体的に言えば、男性自身の生活はそこらの平民より多少良い程度。
いやあ……お金の搾取がはかどりますね。