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モブ高生の俺でも冒険者になればリア充になれますか?  作者: 百均
第二章

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第二十二話 おや? 四之宮さんの様子が……?

 


 四之宮さんが猟犬使いの下っ端から襲われた事件から二日が経った。

 あれから俺たちは当然のように警察行きとなった。

 数人で死体を囲んでいたのだから当然だ。

 幸いにも四之宮さんが迷宮に入る前から最後までの映像を録画していたのと、俺たちもそれぞれ録画をしていたため、複数の映像証拠があるということでさほど時間がかからずに俺たちの疑いは解けた。

 だが、俺が敵から情報を引き出すために意味深な言動をしていたこともあり、事情聴取は長時間に及び、最終的には虎の子の読心の魔道具まで持ち出されるなど、取り調べは翌日まで続いた。

 当然、学校は休みだ。


 その甲斐あって身の潔白は証明されたものの、警察の方々には高校生が連続殺人犯を追っているという無謀な試みがバレてしまった。

 取り調べが長時間になってしまったのは、その説教もあった。

 だがその説教も、なぜか途中で刑事さんが取調室を出ていったかと思ったらピタリと止まってしまったのだが……。

 時間の余裕が無くなったのだろうか?


 そうして無駄に長い時間を過ごした俺だったが、取り調べの中刑事さんたちの反応に一つ奇妙な点を見つけた。

 それは、アヌビスがマスターを殺したシーンを刑事さんたちが見た時のことだ。

 絶対にマスターを傷つけられないはずのカードが、マスターを殺害するというありえないはずの映像を見て、刑事さんたちは苦虫を嚙み潰したような顔をしたのだ。

 普通なら「馬鹿な!」と驚愕すべきはずだというのに、彼らの反応はまるで「またか」とでも言いたげな様子だった。

 そこで俺が直感的に思ったのが「もしかして似たようなことが以前にもあったのでは?」というもの。

 小野のデータが確かならば、猟犬使いの被害者は全国で百名以上出ている。その中で、今回のように下っ端の暴走が一度もなかったとは思えない。警察も無能ではない、今回のように下っ端レベルを追い詰めたことは一度や二度ではないだろう。

 にもかかわらず今日まで誰も逮捕することができず、決定的な証拠を掴めていないのは、今回のように証拠隠滅をされてしまっていたからなのではないだろうか?

 もしも猟犬使いが、あのアヌビスのようなカードを配下全員に配っていたとして、それがいざという時の自爆装置のような役割を果たしていたとすれば……。

 下っ端たちがその事実を知らず、単にアヌビスというBランクカードを報酬兼仲間の証として渡されていたとすれば……。

 これまで誰も捕まっていないという理由も少しだけはわかる。

 もっとも、それだけ大量にアヌビスを用意する方法や資金源などは疑問が残るが……。

 しかし、もしあの死んだ下っ端が処分前提の人材だとすれば、その経歴から猟犬使いを辿るのも難しいかもしれない。

 それはつまり、猟犬使いの捜査はまだまだ続くということだった。


 そうして日を跨いだ取り調べを終えて帰ってきた俺を出迎えたのは、家族による取り調べの第二ラウンドであった。

 過労でぶっ倒れて冒険者業を控えていたはずの息子が、事件に巻き込まれて警察で取り調べを受けて帰ってきたのだ。そりゃあ寛容なウチの両親でも怒髪天をつくというものである。

 しかも、あろうことか連続殺人犯を追っていたという。

 これはライセンスを取り上げられるかもしれん……それだけは阻止しないと、と思っていた俺だったが、両親は事件に巻き込まれたことは知っていても、俺が連続殺人犯を追っていたことまでは知らなかった。

 そこでさすがの俺も警察の対応に疑問を持った。

 普通、たとえ冒険者といえども未成年が凶悪犯を追っていたら親へ連絡して止めるものだ。

 というか、そもそも俺が最初に猟犬使いに襲われた時に警察から両親に連絡が行っていないとおかしい。

 こうなると、俺への説教が途中でピタリと止まったのも疑わしくなってくる。

 ……もしかして俺は国や警察に泳がされているのだろうか、と俺は考えた。

 俺が潜っていた迷宮が消滅した件。国は、俺が迷宮消滅の鍵を握っていると疑っているのではないか、と。

 それこそが俺が猟犬使いに狙われた理由であり、それを探るために俺を自由にして泳がせているのではないか。

 いや、あるいはその逆か。猟犬使いが迷宮消滅の鍵を握っており、俺はそれを知っているため猟犬使いを追っている……そう国が考えているとすれば、しっくりくる。

 まあ、実際には俺は迷宮消滅の鍵を握ってなどいないし、猟犬使いを追っているのも単なる意地の問題なのだが……ここは勝手に勘違いさせておくとしよう。

 なんにせよ、警察が「お宅の息子さん、連続殺人犯を追っていますよ」とは連絡していなかったことは幸運だった。

 それがバレていたら確実に俺の冒険者人生は終わっていたところだ。


 両親の説得は、「後輩の女子とファミレスで話していたら救助要請が来たので仕方なく向かった」「襲われていたのは友人の女子で、自分たちが間に合わなければ殺されていた」という自分の行為の正当性を前面に押し出すことでなんとか押し通した。

 さすがに、人助けをした息子をいつまでも怒るのは難しい。それでも「お前の行為は立派だが、次からは自分の命を最優先にしてくれ……」と言われてしまったが……。

 こうしてなんとか両親の追及を逃れた、と思った俺であったが、大変なのはむしろそこからだった。

 お袋たちは目を爛々とさせて「放課後に話していたという後輩の女の子とはどういう関係か」「助けたクラスメイトの女子とは一体誰なのか」としつこく聞いてきたのだ。

 その追及は本職の刑事さんたちよりもよほど執拗なもので、ただでさえ消耗していた俺の精神を著しく消耗させたのだった。

 そういったわけで、俺は朝から疲れ切っていたのだった。


「ああ……学校さぼりてぇ……」


 漫画喫茶とか行って、十二時間パックで爆睡したい。

 ……まあ、実行はしないが。

 ウチの学校が無断欠席とかは意外と厳しく、一限に遅刻するだけで家に連絡が行くのである。

 それに……学校の評判が気になるというのもある。

 事件のことなど知らないクラスメイト達からすれば、俺は獅子堂に絡まれた翌日に学校を休んでいる風にしか見えないはず。

 学校側から事件に巻き込まれたなんて説明はしないだろうから、今頃『豆腐メンタル君』とか噂されている可能性もあった。

 そこで今日も休んでしまえば、噂は事実として定着することだろう。

 逆に一日だけなら単なる体調不良で済む。

 よって、今日はどんなに怠くても学校に行かなくてはならないのだ。

 そういうわけで重い足取りで学校へ向かうと……。


「あ、四之宮さん」


 偶然にも登校口で四之宮さんとバッタリ遭遇した。


「——マロっち! ちょ、ちょっとこっち来て!」


 四之宮さんに手を引かれる形で、階段裏の人気のないところへと連れていかれる。


「ここなら、いいかな? マロっち、一昨日は本当にありがとうね」

「あ、うん……その、いろいろと大丈夫?」


 助けた時の様子から怪我などはしていないのは確認しているが、精神的にはどうかわからない。

 いつもは強気な彼女も年頃の女の子なのだ、暴漢に襲われたということから男に対してトラウマなどを抱いていてもおかしくない。

 が、彼女はあっけらかんとした様子で笑った。


「うん、全然平気。マロっちが助けてくれたおかげで怪我も無いしね。それより、あの時のことでちょっと聞きたいことがあるんだけど……」


 どこか気まずげにそういう四之宮さん。質問の内容は大体予想がついた。


「あの犯人について何か知っているのか、って?」

「ぁ、うん……」

「そうだなぁ……簡単に言うと、俺はあの犯人……というかそのグループを追っていたんだよ」

「え……犯罪者の調査をしていたってこと? 高校生なのに?」


 ポカーンとする四之宮さんに俺は苦笑しつつ頷いた。


「まあ危ないことしているって自覚はあるよ。……でも俺もあの犯人のグループに襲われてさ……」

「あ、もしかして蓮華ちゃんたちのロストって……?」


 俺が頷くと、彼女は額に手を当てて天を仰いだ。


「あ〜……なるほど、それで、ね」

「……それで、四之宮さんはなんで?」


 俺は聞いてよいモノか若干迷いつつ、結局聞いてみることにした。

 あちらもこちらの事情を聴いてきたのだから、と思ったのだ。


「あ〜、一言で言うと、前に話したスカウトの話を受けたっていうか」

「……新人を主に狙った事件が起こっているって忠告しなかったっけ?」


 俺が少し怒った風に言うと、彼女は気まずそうに目を逸らし……。

「う……、それは覚えていたんだけど……お母さんが倒れて、さ」

「……そ、それは」


 今度は逆に俺の方が気まずくなって目を逸らす。


「あ、重い病気とかじゃないから安心して。まあ手術して安静にしてれば普通に治る感じだから。でも大本の原因が過労ってことでさぁ……」

「………………」


 割と裕福な家で生まれ育った俺にはコメントし辛い家庭事情に、俺が何も言えずに口ごもっていると……。


「ま、それでお母さんに心配かけてたら意味ないって話なんだけどね。メチャクチャ怒られたし」


 そんな俺の様子を見て、四之宮さんは冗談めかしてそう言った。そんな彼女に、俺も苦笑する。しこたま怒られたのはウチも同様だった。


「それで、これから冒険者やっていくのか?」

「ううん、さすがにいきなりこんなことあったらね。初っ端から救助要請する羽目になったし、事務所に貰ったカードもロストしたから……」


 ちなみに救助要請代については、事件だったということから本人負担はない形となっている。だが事務所から貸し出されたというカードについては、契約内容によっては面倒なことになっている可能性があった。


「……もしかしてカードの弁償とかそういう話になっているなら協力するけど」

「あ、そういうのは大丈夫。契約自体がなかったことになって、むしろ逆にその賠償金とかをかなりもらえることになったから」


 賠償金……どう考えても口止め料とかその手のお金だろう。

 事務所側の要望として冒険者になった所属タレントが初日にして襲われたのだ。事件そのものに事務所の関与を疑われかねない状況だし、一秒でも早く契約そのものをなかったことにしたかったのだろう。

 でなければ、言っては悪いが四之宮さんのような無名の新人モデル相手に多額の賠償金を払うとは思えない。

 ……まぁ、すべてが白紙になった上で彼女も無事、お金も入ったというのは、トータルで見ればプラスと言ってよいかもしれなかった。


「でも、さ……本当に助かったよ……マジ、カッコ良かった」


 俺がそんなことを考えていると、四之宮さんが頬を微かに染め、ポツリと呟くように言った。


「あ、う、うん……どういたしまして。ま……偶然だけどな」

「結果結果、結果が重要なんだよ、助けられた人にとってはね。そのさ、なんかお礼したいんだけど……リクエスト、ない?」


 落ち着かない様子で髪をいじりながらそう言ってくる四之宮さん。


「うう〜ん」


 どうしたもんか。彼女を助けたのが本当に偶然である以上、何か見返りをもらうのは気が引けるところではある。だが、こういう時は多少なりともお礼を渡した方が気も楽になる、という気持ちもわかる。

 あ、そうだ! 俺の頭に閃きが走る。


「じゃあ、お言葉に甘えて」

「あ、うん! なになに? 何でも言って?」


 パッと顔を明るくする彼女に、俺は頬を掻きながら言った。


「その、牛倉さんと二人で遊びに行くセッティングとかお願いできない……ッスかね?」

「————……………………」


 ピタリ、と四之宮さんが停止する。


「………………………………………………」

「えっと……ダメッスかね?」

「…………ううん? 別に? いいよ? 『静歌と二人で』遊びに行きたいってことね。オッケー」


 ニコリと笑ってそう言う四之宮さん。

 よっし! 内心でガッツポーズをする。

 実のところ、クリスマスに誘いをかけて断られてからというもの俺は、彼女に再アプローチをかけられずにいた。

 それは冒険者業が忙しいというのもあったが、一度断られた以上もう一度誘いをかける勇気が持てなかっただけであった。

 以前勝負に行けたのは、何も失うものがなかったからでもある。

 せっかく普通に話せるところまでこれたのに、その関係を崩したくないという思いもあった。

 だが、いつまでもこのままでいいわけでもない。

 指をくわえている間に彼女に彼氏が出来たら悔やんでも悔やみきれないだろう。

 好きな子を誘うのにその友達に仲介を頼むというのも情けないところはあるが、これで貸し借りなしとなれば四之宮さんも気が楽だろう。

 我ながらナイスアイディアだと自画自賛したい気分だった。


「それで、具体的にいつが良いとかある?」

「あー……今は色々立て込んでるからなぁ、落ち着いたら連絡するよ」

「うん、わかった」


 いやぁ、ここの所不運続きだったけど、ようやく運が回ってきたんじゃないか、これは?

 とほくそ笑んでいると……。


「それじゃ、教室行こうか」


 不意に、四之宮さんが手を取ってきた。


「あ、うん」

 四之宮さんに手を引かれ、教室へと向かう。

 男のそれとはまったく違う柔らかな手の感触にドギマギしつつ、驚きの目でこちらを見てくる他の生徒たちの目が妙に気恥ずかしい。

 しかし、振り払うのもアレだしどうしたものかと思っているうちに教室へとついてしまった。

 さすがにもう手を放すべきだろう、と思っている俺をよそに、四之宮さんががらりと扉を開けてしまう。

 勢いよく開けられた扉の音に、教室中の視線が集まった。

 俺たちの姿を見て、握られた手を見てさらに驚愕の視線が集まる。

 が、すぐにクラスメイトたちが集まって来て。


「おはよ、北川!」「聞いたぜ! 迷宮で他の冒険者に襲われた四之宮さんを助けたんだって?」「すげー、やるなぁ!」「つか、迷宮ってモンスターだけじゃなくてそういう危険もあるんだな」「やっぱ、冒険者って高給取りな分あぶねーんだな」

「えっ? ちょっ……!?」


 な、なんだ、これ!

 口々にそう捲し立ててくる彼らに俺は目を白黒とさせた。

 どうしてコイツらがそのことを知ってるんだ? ……って候補は一人しかいないか。

 四之宮さんを見ると、俺に軽くウィンクをしてきた。

 ……常識的に考えて、誰かに襲われそうになった、なんてのは女性の立場からすれば隠しておきたい話のはず。大多数が同情しても、ごく一部の品性下劣な奴らはそれを面白おかしく邪推し、あらぬ噂を立てることもあるからだ。

 にもかかわらず、こうまで大々的に広めたのは……俺の為か。

 先日の獅子堂との一件で下がった俺の株を、こうして高騰させるために自分から情報を拡散したのだろう。

 教室を見渡してみると、クラスメイト達の目は一気に好意的なモノへと変わり、獅子堂たちのグループは俺と視線が合うと気まずそうに目を逸らした。

 その中に、獅子堂の姿はない。昨日の今日で、さすがに顔を合わせ辛くなったのだろうか。

 と、クラスメイト達の波が引いたところで牛倉さんが話しかけてきた。


「おはよ、北川くん。楓ちゃんのこと、本当にありがとうね」


 心からの笑顔でそう言ってくる彼女に、俺は「偶然だから気にしないで」と言い返そうとし、ふと気づいた。

 いや、待て、本当に偶然なんだろうか?

 四之宮さんが潜っていた迷宮は、俺たちがいたファミレスからさほど遠くない場所にあった。そして、牛倉さんはあの日、俺がいつものファミレスで集まるのか確認を取っていた。


「……もしかして、万が一の時に俺が四之宮さんを助けられるように、誘導した?」

「え? どゆこと?」


 俺の言葉に四之宮さんが、牛倉さんを驚いたように見る。


「あはは……誘導ってほどでもないけど、ファミレスの近くならもしもの時に北川くんが助けてくれるかも、と思って」

「えっ、でも私あの日迷宮に潜るって静歌に言ってないし、迷宮も自分で選んだんだけど」

「口では辞めたって言ってても本心では違うことくらいわかるよ。幼稚園入る前からの付き合いなんだよ? それに楓ちゃんの性格なら、気持ちが変わる前にとにかくすぐに迷宮に入ろうとするだろうし、学校の近くの迷宮を選ぶかなって。私は、その中からファミレスに近い迷宮の特徴を、初心者におススメの迷宮として前々から楓ちゃんに吹き込んでただけだから……」


 いや、それを人は誘導と言うんですが……。

 自分が完全に牛倉さんの手のひらの上で転がされていたことを知った四之宮さんが頬を引きつらせる。


「うわ〜、久々に出たな、ブラック静歌」

「ブラックはやめてよ〜」

「あはは……でも、ありがとうね……静歌」

「どういたしまして!」


 ええ話や……、と二人の美少女たちの心温まる光景を一歩離れたところで見ているとポンポンと俺の肩を叩いてくる奴がいた。


「おはよ、師匠。さっそくお手柄やったな」

「おはよ、小野。まあ、完全に偶然と言うか、牛倉さんのお膳立てだけどな」

「結果結果、結果が重要やで」


 四之宮さんと同じセリフに苦笑する。


「これで獅子堂のせいで下がった株も元通り……いやそれ以上やな。大したもんや」

「よく言うよ、この話を広めたのお前だろ」


 ニヤリ、と笑う小野。

 昨日休んでいたのは四之宮さんも同じだ。にもかかわらず、今日の時点でクラス中に広まっているのはそれを広めた奴がいるから。そんな奴、コイツしかいない。


「ところで、獅子堂の奴今日は休んでんのか?」


 俺がそう問いかけると、小野は真面目な顔つきになった。


「ん? ああ、昨日からな……」

「昨日? まさか……」

「いや、昨日の先生の話やと単に高熱がどうのこうのって話やったけど」


 なんだ……ただの風邪か。

 いや……。


「一応さ、小野の伝手から獅子堂の奴らに忠告しといてくれ。少なくとも、絶対に一人では迷宮に入るなってさ」

「それはもう伝えといた。さすがに今の時期はな。四之宮さんが襲われたのもあるし、さすがの獅子堂もこれで自重するやろ」


 もう動いててくれたのか。そういえばフォローは任せろとか言ってたな。さすが小野。


「ま、今はその話はおいといて。……例の被害者の冒険者サークルの件、わかったで」

「ッ! ……どうだった?」

「完全に黒や。被害者が所属しとった冒険者サークルは、どれも星母の会傘下やった。といっても部員はあくまでカード交換会とか目当てで、活動自体には興味なかったみたいやけどな」

「そうか……」


 これで、繋がりがはっきりしたか。

 だが……とふと思う。

 仮に星母の会が犯人だとして、なぜ団体の信者を襲うのか……。

 あえて信者を襲うことで、疑いの目を逸らす作戦なのか?

 それならばむしろ全くの無関係を装った方が、安全なはず。

 星母の会が犯人ならば、逆に自分の信者を襲ったりはしないのでは……?

 あるいは、そう思わせること自体が目的?

 裏の裏か、裏の裏のそのまた裏なのか。

 俺はとりあえず、今の情報を織部達へと送ったのだった。



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