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とある騎士物語 番外編

“この世界は残酷だ”

 私が生まれて、初めてと言っていいほど強い感情を抱いたのはこの時だった。

 



この世界は親しかった人が倒れて動かなくなることや、 消えていなくなることは少なくない。

しかし、私が生まれて8つぐらい経った頃だろうか。

その時が、お日様が昇り始めた頃か、またはお日様が私たちの真上に昇ってきた頃なのか、はたまたお日様が私たちの前からいなくなってしまって変わりにお月様が昇ってきた頃なのか分からないほどに私の記憶の中は炎に埋め尽くされていた。


 人々が我先にというように必死に逃げていた。

 私に優しくしてくれたパン屋のおじちゃんは、邪魔だと言ってわたしを押しのけて行った。

 私に厳しかった魔法幼学校の先生は、恐らくお金、いわゆる賄賂をわたさない私には優しくしない。転けた私の手をブーツで踏んでいった。

 この時の私は果たして絶望していたのだろうか、それともどうにかして希望を導き出していたのだろか。

 今この本を書いている自分だったならば、私は多くの人々何とかして逃がしているだろう。

 だが、この頃の私には人を助けようにも助けるほどの“力”が無かった。

それは、とても悲しい現実だった。


 

 

       『キータ・ナーベの日記』より

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