新天地
初投稿です。
小説を書くのは初めてで、所々滅茶苦茶な箇所や誤字脱字があるかもしれません。
まだ文体も安定してませんが、どうぞよろしくお願いします。
日曜日の午前。普段は学生は休みの日だが、俺はある学校へと来ている。
校門に居たこの学校の用務員であろう人物に要件を伝えると中へと案内された。
彼と他愛ない会話をしながら校内を歩き、一階の奥の部屋の前でストップした。
「それじゃ、儂はこれで」と彼は去っていった。
軽く深呼吸をして、校長室と示されているドアを3回ノックする。
「お入りください」
中から返って来た女性の声に従い、ドアを開け入室した。
日本独特の礼儀作法に倣い、彼女へ一通りの自己紹介を済ませた。
「一通りの事は分かりました。保護者の都合により我が校への転入を希望、ですね?」
「はい。少々特殊な職なので」
「なるほど。先日実施したテストと前の学校からの成績を見ると問題は無さそうですね」
彼女は顎に手を当てて何かを考えているようだ。
「佐藤くん」
唐突に俺の名前が呼ばれた。
「はい」
俺が返事をすると、彼女は俺の目を見つめた。
「あなたを我が校への入学を認めます」
この瞬間、俺は私立龍門寺高等学校へ通うことになった。
「ありがとうございます」
先日に行ったこの学校の学力テストは簡単なものだったので合格は想定していた。
「以前の学校はかなりの進学校だったのにどうしてこの学校にしたの?」
先ほどとは打って変わってにこやかに彼女は尋ねてきた。
「単に新しい家から近いのと、ここも名門の進学校だからですね」
私立龍門寺高校は県内でもトップクラスを誇る進学校で、様々な著名人を輩出している。
「でも以前の学校より偏差値は高くないわよ?」
俺の以前の学校は峯崎大学附属第一高校だ。
所在地が京都のため、通称『京都第一高校』と呼ばれている。
この高校は上位組織である大学と共に全国でもトップクラスの偏差値を誇る。
学業の他にも部活が盛んで、多くの大会で優勝を果たしている。
しかし、内情はかなり黒い。
あの学校の中では成績で全てが決まると言ってもいい。
生徒の向上心に任せるという放任主義に加え、一部生徒会員による独裁的な自治。
その制度に加えて成績の悪い者にとっては地獄だろう。
「偏差値という尺度で僕は学校を選択していませんから」
「あら、そうなの?嬉しいわね」
と、彼女は微笑んだ。
「でも先日のテストの結果を見たけど凄いわね...。全教科満点だなんて。あなたの様な生徒は今まで見たこと無いわ」
「そうですか」
「まぁ、とにかくこれからはこの学園を満喫してくださいね」
「はい。では失礼します」
そっとドアを閉めて学校を出た。
校門のすぐそばに停めてある車に俺は迷わず乗り込む。
「もう面接は終わったの?」
運転席に座っていた女性に話しかけられる。
「ああ。合格だったよ」
「良かったじゃない!」
「ああ」
彼女は俺の保護者であり、俺の恩人だ。
彼女は俺を怪物から人へ戻してくれた。
「それより美沙、この後は制服を買いに行かないといけない」
「場所はどこ?」
「この紙に書かれている」
「んー。オッケー、早速向かいましょう」
美沙の慣れた運転で俺たちは制服の販売店へと向かった。
急な眠気に襲われた俺は彼女の横顔を見たのを最後に眠りについた。