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ツッコむぞ!

思ったより短時間で次が書けたので投稿します。

ピロン。



アイコン音に意識を覚醒させる。



───また死んでしまったのか…



体を襲う倦怠感を億劫に感じながらも瞼をあける。



「うっ…」



瞼をあけると同時に襲ってくる頭痛と吐き気に呻きを漏らす。

呼吸を整え閉じた瞼をもう一度開ける。

そろそろ見慣れてきた窓に目を向ける。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



死亡。(残り:∞)



2回目の転落死乙!笑

しかも、魔力切れ起こして白目になりながら落ちていくとかネタ?

お前俺を笑殺す気だろ!笑

__________________



相変わらずのうざさ。

毎回メッセージを入れていくるとか神とは暇なのだろうか……

仕事しろよ!



「ご主人様大丈夫ですか?」


「なんとかな。」



消滅していく窓を見ていると頭部の方から声が聞こえてくる。

返事をし声の方を見るために体を持ち上げる。


───あいつ逃げてたな。


離れた位置から聞こえると思ったら大樹を2本挟んで裏から顔出し様子を伺いながら声をかけてきていた。


はじめから頼りにしてないゴブリンは放置して、俺を死へと追いやった存在を探す。


横を向くと落ちた衝撃を物語るかのように小さなクレーターを作り出してカメレオンは絶命していた。


ちゃんと死んでいるようで動く気配がないことに安堵する。

まだ気分が悪く体も思ったように動かせない。

もし死んでなかったら生きたまま喰われていただろう。

想像を絶する痛みを味わったかもしれないと考えると体が震えた。



「もし食われたらうんことして生き返るのか?」


「ご主人様はまた何わけのわからないこと言ってるんですか…」



ゴブリンは周りを見回しカメレオンの死体を見て安全なことを確かめ漸く側までやって来た。

主人扱いなのに自分の安全が優先とか主人の定義とは何かを小一時間ほど問い質したい。


そもそも主人になった覚えがないんだが……



「動けそうなにないから起き上がらせてくれ。」


「ご主人様本当に大丈夫ですか?」


「少し休めば大丈夫だと思う。」



ゴブリンに起き上がらせてもらい幹へともたれ掛かる。

魔力が回復してきたのだろう倦怠感が薄れたきた。

俺が休んでいる間ゴブリンは巨大カメレオンを見つめて涎を垂らしている。

あいつの食い意地には呆れを通り越して感心してしまいそうだ。



「トキヤだ。」


「トキヤ?なんですかそれ?」


「俺の名前だよ。」


「えっ、ご主人様はネームドモンスターだったんですか!?」



どうでもいいかと思ったがご主人様呼びもむず痒いし、もう暫く行動を共にするなら名前ぐらい教えておくかと思い言ってみたのだが…


───なぜそうなる。


俺のどこがモンスターなんだよ!

ちゃんと人ですよ!

ほら、ステータスにも人間って書いてある。

ちょっと不安になってわざわざステータスを開いたのはご愛嬌だろ。



「俺はモンスターじゃない人間だ。」


「えぇ~ご主人様人間だったんですか!」



そんなに驚くことか…

むしろ、今までモンスターだと思われてたことが驚きなんだが。



「次からはそのご主人様をやめて名前で呼んでくれ。」


「わかりました、トキヤ様ですね!」



覚えるためだろうかブツブツと俺の名前を繰り返し呟いていた。

そして、はっと顔をあげたかと思うとこっちに詰め寄ってくる。



「ど、どうした?急に…」


「トキヤさま!私も名前ほしい!!」


「どうぞ。」


「どうぞじゃないです!つけてください!!」



え~名前とか無理なんですけど…



「お願いします。」


「わかったよ…」



押しに弱い俺。

了承したけどそんな期待した目で見ないで。

俺のセンスに期待しないで……


ゴブ子はないな。

ポチとかタマじゃダメだろうし…

ミリン?

緑の体だからミドリの頭文字とゴブリンの後ろ二文字をとった捻りもない適当な名前じゃ納得しないよな。

因みにうちはタ○ラ本ミリン派だ。

リンリン?

パンダほど愛らしさがないから却下。

ダメ元で提案するか。



「ミリンなんてどうだ?」


「ミリン…」



ほらね。

適当すぎるしネタだから怒って俯いちゃったよ。

一生ものをネタにしたらダメだよな。



「ごめん、やっぱり違うにしよう。ほら、ゴブリーナとかさ」


「ミリン、ミリン、ミリンでいい!これが私の名前!」



うぉ~い。マジか…

満面の笑みで受け入れられた。

罪悪感ぱないんですけど…



「おい、お前光ってるぞ…」


「本当だ。トキヤ様どうしたら…」



申し訳ないけど嬉しそうだからまぁいいかと思い直した。

日が暮れかけてきたから寝床をなんとかしないとと思考を切り替えていると、前で嬉しそうに何回も名前を繰り返していたゴブリンが突如光出した。

言葉を言い終える前に光の中へとに包まれてこちらからは見えなくなってしまった。


数分の時間が過ぎ未だ輝き続けるゴブリン。

いやもうミリンか。



「おーい」



返事はない。

ただの屍のようだ。


さらに十数分が経過。



「おーい。」



返事はない。

ただの屍のようだ。



そろそろこの繰り返しも飽きてきたな……


もう放置して寝床を探しに行ってもいいのではないかと考え始めると1本の光が伸びてきた。

ふざけて気を抜いていた為に気づいたときに避けることのできないところまで来ていた。


光は俺と繋がったかと思うと凄い勢いで俺から魔力を吸い上げていく。



「やっと回復した魔力奪うな~。てか、吸い過ぎ気持ち悪くなってきた。干からびる!死にそう!やめて~。」



俺の雄叫びという名の心の叫びが通じたのか。

枯渇まではならかったがギリギリまで搾り取られた俺はぐったりとなり、先程まで背を預けていた大樹に再びお世話になる。



「トキヤさ~ま~」


「おふっ」



大樹の包容力に身を任せ休んでいると、高速飛来する物体に鳩尾を撃ち抜かれた。



「ヒーヒーフーヒーヒーフー」


「なんでラマーズ法なんてやってるんですか。」


「!!」



ゴブリンがなんでラマーズ法なんて知ってるんだ、そもそもお前のせいだと言ってやろうと見ると驚かずにはいられなかった。



「どうしんですか?鳩が豆鉄砲をくったみたいな顔して。」



だから、ゴブリンがなんでそんな言い回しを知ってるんだよ。

いや、今はそんなことはどうでもいい。

数時間前にやったとこだが、あえて同じやり取りをしようではないか。



「お前ゴブリンだよな?」


「違います!」



あれ?さっきと返しが違う。

というよりまさかの違う人なの!



「私はミリンです。」



───あ~そっちね。

タ○ラの方ね!

いや、そうゆう問題じゃないから。

お前一回鏡で自分の顔見てこい。

完全に別人だがら。

1日で何段階変化するんだよ…

もう初代デジ○ンのワープ進化ぐらい変わってるぞ。

原型どこいったんだよ。

体表が緑以外なくなってるぞ……


光から出てきたゴブリンもといミリンは大きさは変わらないがツルツルだった頭にはショート程度の茶色の髪が生え、真緑の肌は薄れ淡い黄緑に変わり幼さを残した十代の少女のような顔立ちと人間味が増していた。


進化論とか言っても仕方ないのだろうな。

異世界ファンタジーすげーで片付けて考えることを放棄する。

こうなったらすることは一つ。


鑑定さんお仕事ですよ~。



「"鑑定"」



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ミリン フォレストホブゴブリン亜種


レベル:32

HP: 220/220

MP:150/150

筋力:82

耐久:72

敏捷:53

魔力:92

知力:67

器用: 76

幸運:58


スキル

杖術Lv. 2 火魔法Lv.2 水魔法Lv.2 土魔法Lv.3 悪食Lv.5


称号スキル

トキヤの庇護Lv.―― トキヤの従魔Lv.――

________________



も~ツッコミどころしかないんだけど…

というかツッコむ前に展開についていけない。

もうツッコまずにこまま流されようかな…


いや、ツッコミは大事なはず!

銀○のぱっつぁんや物○シリーズの阿良○木君のようにツッコまなければ物語が成立しなくなる。


さぁ、ツッコむぞ!!


光った段階で何となく予想してましたよ。でも、なんで本当に進化しちゃってるの!

進化ってあれじゃん。

試練とか乗り越えてなれるやつだし。

三分クッキングみたいな感じで簡単にしちゃっていいやつ違うからな。

しかも、亜種ってなに?

めっちゃ強なっとるし!

何従魔って、俺従えた覚えないんだけど…

ちゃっかり魔法増えちゃってるし!

意味がわからん!!



「どうしたんですか?ブツブツと何言ってるんですか?」


「なんでもない。画面の向こうのお友達に心の声を届けてただけだから。それよりお前もう少し自分の変化に対して何かないのか。」


「変化?何も変わってないですよ?」


「いや、ほら髪とか肌の色とか違うだろ…」


「え~髪がある!」



え~はこっちの台詞な。

もしかして天然なのか、普通気づくだろ。



「1回落ち着け。それともう今日はここで休むぞ。」


「──わかりました。じゃあ、私薪拾ってきます。」



切り替えはや!

1日が濃すぎるて疲れた…

寝床は諦めて交替で見張りをすれば野宿も出来なくはないはずと、騒ぎ立てるミリンを落ち着かせてここで休むことを伝える。

昨日頼んだからだろうか薪拾いが自分の役割と言わんばかりに行動し始めた。



「ミリンあれ食えるのか?」


「はい、私は食べれます。」



薪を拾いにいくミリンの背に問い掛けると振り返り俺の指先を認識すると含みのある答えが返ってきた。


見た目からカメレオンって美味って感じじゃないよ。

でも、世間には下手物ってジャンルもあるし…

ダメ元で一口食べて無理そうなら諦めてまた茸で凌ぐか…


こうして俺の異世界生活は二日目を終えていった。

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