どんくさく死亡
ツッコんでいいんだよなこれ?
てか、許可なくてもツッコむぞ!
まずは軽いところから。だれが、無職や!ちゃんと働いてたからね!俺労働の義務果たしてるから!フリーターであってニートではないから!!
そして、誰が変人や!それも手持ちスキルの中でレベルが一番高いってどうゆうこと。
俺のどこが変人?普通ですけど。
ステータスで悪口とか新手の虐めですか……
次に不死者(仮)ってなに意味わからん。
不死者ってことは不死身になったのか。それとも(仮)ってことある程度は大丈夫ってことか。
そもそも、スキルに(仮)ってなに?
不死者ってアンデッドなイメージなんだけど腐ったりする呪いなんてオチじゃないだろうな……
最後に自称神がまさかの創造神!!
あれが一番偉い奴……
姿は見てないけど俺のラノベ知識の神イメージとかけ離れ過ぎ。
創造神の方が変人だからね。
転移させて殺そうとか変人。
いや、もうサイコパスだろ。
ステータスの値はよくわからん……
強いことに期待をしたいがわからないことを深く悩んでも仕方がない。他の人のをみる機会があればわかるだろう。それでも運が明らかに悪いのはわかるぞ。ステータスで弄るんじゃね!
「ふぅ……疲れる。」
一通りステータスへのツッコミをしたことで落ち着き冷静になることができた。
改めて自分の状況を確認する。
視界を埋め尽くすは木オンリー。
相当距離は続いているのだろう。今日一日で抜けるのは不可能と考えて間違いないと思う。そうなると少なくても一夜は野宿する必要があるな。
と言うことは食料を確保する必要があるな。
これが最優先事項だろうな。
次に安全な寝床だな。夜営なんてしたことのない俺が警戒しながら休むなんてできるはずがない。
理想は洞窟とか雨風をしのげる場所だな。あくまでも理想だからないことを想定してと、どこへ向かうが重要だよな。
「登ってみますか。」
樹齢数百年はあるだろう大樹を見上げ、これなら登っても折れることもないだろうと行き先を決めるために登って周囲を確認することにした。
「すげーな俺。」
天まで貫くようにそびえ立つ大樹を前にしていざ登ろうと思うがボルダリング選手でもない限り無理だろうと怖じ気づくが、葛藤の末やってみないことには先に進まないと心を奮い立たせて登り始めるとなんとステータスの成せる技か、もやしっ子だった俺がすいすいと大樹を登ることができている。
やはり、これは定番のチートステータスのTueeeeができるのか!
中二な妄想に思わず頬が緩みにやけてしまう。この場に人がいたらドン引き間違いなしだ。
二十分程度登り続けて漸く半分ぐらいまで来ることができた。
ひと休み出来そうな太い枝に腰を据えて、下を見れば地面は遥か後方でビル三十階相当はありそうで落ちれば確実に死ねるだろう。
これで約半分といことは頂上は高層ビルにも引けを取らない高さということだ。
そんな気が何本も聳え立つとかさすが異世界だな。
地球だったら世界遺産確定間違いないだろう。
暫しの休憩を挟み、気合いを入れ直し世界遺産樹踏破を目指し木登りを再開する。
木の呼び名の語呂が悪いのは察してくれ……
「すげー」
登り続けること数十分、漸く大樹の前へと到達し晴れ渡る青空を拝み、辺りを見回した感想が思わず口から飛び出した。
視界前方には見渡す限りの緑。
どこまでも続き終わりがないのでは錯覚させられる。
後方を振り返れば悠然として立ちはだかる山々。全てが霊峰と言われても差し支えがないほどの雄大さを醸し出している。
右手には聳え立つ大樹を上回る雲にも届くのではないかと思わせる巨大樹が圧倒的存在感を放っていた。
左手には森を分断するかのように流れる大河がある。
「一時間前に戻って俺を殴ってやりたい。一日とか無理だな。一ヶ月あっても出れるのかこれ?」
雄大過ぎる大自然を前に考えを改め向かう方向を思案する。
人里を目指すなら山はないな。
前方の鬱蒼とした森を突き進めばいつかは森からは出れるだろうがその先に人里がある保証もなく、目印がない森を進むのは迷う可能性がある。
となると、巨大樹はわかりやすい目印になるし、あれだけの樹であれば近くに文明が栄えている可能性もある。
最後に大河。これが人里へ向かう上では最も無難で確率が高いだろう。
人は必ず水を必要とする生き物だこれだけの大河だ下流へ向かえば何処かしらで人の営みがあるばすだ。
巨大樹を目指してみたい気もするが、ここは無難な大河沿いを進むの一択だろうな。
危険は犯さない主義だからな。
そうと決まれば食料を探しつつ、異世界定番のスライムとかゴブリンを倒して少しでもレベルを上げて生存率を高めたいな。
「降りますか……やっちまった、下見たらダメなやつだ……」
方針も決まり降りようと真下を向いて後悔。
高層ビルも顔負けの高さだ。
普通に足が竦んでしまった。
高層ビルからの命綱なしで外壁を降りるとか普通に怖いだろ。
だから、これは不可抗力!チキンとかじゃないから!!
行きは登れた?そんなん知らん!
行きは何処までも登れることにテンションがあがりアドレナリンがドバドバ出てて気にならなかったんだよ。
たぶん……
グルァァァァァ
「おいおい、無理ゲーだろそれ。」
踏ん切りがつかずにもたついていると更に上空から雄叫びのような鳴き声が響き渡り顔を上げれば、前方上空より高速で急速接近する物体が見える。
少し目を細め注視すれば朧気だった輪郭は接近によりはっきりとしてきた。
重厚感溢れる黒を全身に纏い、全てを砕くだろ牙が口から飛び出し、高速飛行を可能とする翼は空の王者の証。
生物の頂点へ君臨するだろう龍が迫ってきている。
「現実でも負け確定イベントって発生するんだ……って呑気に感心してる場合じゃない。完全に俺に向かってきてるし、これどうするんだよ!絶対死ぬやつじゃん。魔法か?魔法使えばなんとかなるのか?って使い方判らねぇよー!」
慌てふためく間にも距離は詰まってくる。
「も~気合いだ!気合い!いくぞ、"ファイア"あっ、出た!」
グルァ
ドーン
「オワタ…」
勢いに任せて手を突き出し適当な呪文を唱えれば手のひら大の火の塊が飛び出した。
放たれた火の塊を攻撃とみなしたのか龍は口を開け咆哮と共に大岩のような火球を吐き出し、俺の火の塊を飲み込み真横を通り過ぎ後方で爆音と火柱を立ち上げている。
俺の心を折るに完璧で万が一にも勝てる見込みはないだろう……
龍との距離は目前まで迫り、俺を喰らおうと大口を開けている。
「やっぱ無理。」
喰われるしかないかと諦めかけていたが、びっしりと生え揃った鋭い牙に噛まれるのは避けたいと傍の枝と飛び乗り駆ける。
「そんな簡単に喰われてやるかっての!ざまぁー!あっ、死んだ。」
後方を振り返り先程まで俺の場所通り過ぎた龍に罵声を浴びせれば、高速で通り過ぎた余波で強風に当てられ足を踏み外し枝から滑り落ち、落下の恐怖から俺はすぐに意識を手放してしまった。