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油断

メリークリスマス

「どこまで続くんだよ!」


「これでも食べて少し落ち着いてください。」



イライラしている俺を落ち着けるようにミリンが食うのを戸惑う色味の茸を差し出してくる。

鑑定さんは文字化けしてるが鑑定結果なんてみなくてもわかる。

それ毒キノコだからな!


河に沿って歩き続けて5日。

俺たちは未だに森を抜けれづにいる。

時折大樹に登っては確認作業は続けているが一向に終わりは見えてこない。


都会の便利な生活に慣れ親しんだ俺にとって1週間の野外での生活は神経を磨り減らし、苛立ちを募らせるには十分であった。


話し相手となるミリンがいるから幾分ましであるし、1人でいたら発狂していたかもしれない。


因みにこの5日も安定して毎日1回は死んでいる。

爆弾キノコによる爆死。

電気うさぎによる感電死。

スライムの強襲による出血死。

そして、中毒死が2回。

ミリンの土魔法で鍋を作れないかと聞くと鍋が伝わらなく四苦八苦したが作らせることに成功。

肉と茸を煮込み簡単なスープを作成。

煮込み終わるまでミリンに火の番を頼み、恒例の大樹からの位置確認。

戻りいい感じに煮込めたスープをミリン作の皿に取り分け食べた。


───そして、死にました。


意味不明?

俺だって窓見るまでなんで死んだのか不明だったよ。


復活後、ミリンを問いただす。

結果「あれを入れました」と指差された先には色鮮やかなキノコさん。

完全にダメなやつ。

自分も手伝って美味しくしたかったと泣きながら謝罪をされ怒鳴り散らしたい気持ちをグッと堪えて次は入れる前に確認しろと注意するに留めた。


翌日、流石に昨日の今日だから大丈夫かと思い席を外し果物を手に入れ食事をして死にました。


2回目には流石にキレてしまった。


「またキノコかぁぁぁあ」とミリンに詰め寄ると入れてませんと言われ、「何をしたぁぁぁあ」と問えば「隠し味に齧って美味しかった葉を入れてみました」と返ってきた。


鑑定結果はお察しの通りですよ…


こいつの味覚は狂ってやがる。

スキル悪食の成せる業だろうか。

言わずもなが今後料理の手出しを禁止にした。



「トキヤ様いましたよ。」



苛立つ俺から距離をとり先行していたミリンが河の畔で体を休めている鳥形の魔物を指差し、手慣れたように土魔法で精製した石を投げ渡してくる。


石を受け取り炎を纏わせて投げつける。



ガァ



頭に石が直撃した鳥形の魔物は短く鳴き声をこと切れた。


この数日河と並走しながら河で食事や休息をとってている魔物を奇襲し食料とするという行為を繰り返していた。

毎回手頃な石を手入れるのが手間でミリンが土魔法を持っていることを思い出し精製できないか聞くとすんなりと作ってくれた。

ミリンが作った石を使って狩りを行うとい形が定着。


5日間で20匹ほどの魔物を奇襲、討伐することでレベルが23まで上がった。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

トキヤ=フジ 18歳 男 人間

職業:無職

レベル:23

HP:680/680

MP:438/438

筋力:230

耐久:860

敏捷:190

魔力:275

知力:186

器用:279

幸運:6


スキル

投擲Lv.5 火魔法Lv.4 水魔法Lv.2 付与魔法Lv.3 痛覚耐性Lv.6 毒耐性Lv.1


エクストラスキル

暗闇魔法Lv.2 鑑定Lv.3 世界言語Lv.2


称号スキル

変人Lv.7 不死者(仮)Lv.―― 創造伸の加護Lv.――


________________



新しいスキルは覚えてないが順調にスキルレベルは上がっている。

このまま進めばいずれ異世界つぇぇぇもできそうな気がするな!


運が上昇していない?

そこは触れないのが優しさだぜ…


ミリンに石を精製させることで共闘と判定されているのかミリンのレベルも10上昇している。



鳥を丸焼きにして酸味のある果物を絞って振りかけ食事にする。

肉汁と程よい酸味がうまいな。



「そろそろ行こうか。」


「わかりました。」



少しの食休みをとって行動を再開するべくミリンへ声をかける。

食べた骨など残骸を土魔法で手早く片付けて、棍棒を担いでやってくる。


この5日間で俺たちは武器の入手に成功。

ミリンの持つ棍棒はオークが所持していた。

俺もリザードマンが持っていた剣を装備している。

装備してはいるが"メテオシュート"による奇襲が基本で効かない相手には"ディストラクション"で止めを刺すから使う機会などなく完全にお飾りとなっている。



ウォォォン



行動を再開した直後、遠くから聞こえた雄叫びに手でミリンを制止し歩みを止める。



「まだ遠そうだが警戒は──どうやら遅かったようだな。俺が魔法で叩く、守りは頼んだぞ。」


「わかりました。」



進行方向の茂みから二足立ちの狼が二匹に大型犬サイズの灰色の狼が三匹現れた。

ミリンは手早く石を精製し手渡し、棍棒を構える。



「"ファイア""メテオシュート"」



石を受け取った俺は牽制の魔法を放ち、追随するようにメテオシュートを放つ。


牽制につられ避けたところをメテオシュートが被弾し二足立ちの狼の土手っ腹に風穴をあけた。

崩れ落ちるのを視界の端で捉えながら、次弾を続けざまに2発灰色狼に向けて投げる。


二匹の灰色狼はすぐさま玉の斜線上から退き回避に回る。

回避行動は予め予測済み。

むしろ避けてもらわないと当たらない。

回避方向を誘導するために正面より少し外してある。

思惑通りに狼は揃って左側へと動いた。


避けた狼に向かって投擲スキルの補正で炎弾が豪速球投手が投げた高速スライダーのように曲がっていく。


一匹は胴体へ、もう一匹は顔へと命中し絶命させる。


残りが1匹ずつ。


俺が攻撃している間に俺へと肉薄しようとしていた二足立ちの狼をミリンが棍棒と魔法で足止めをしている。



「"ウォータースパイク"」



警戒して近寄らない灰色狼を正面に捉えながらミリンと対立する二足立ちの狼へと魔法を放つ。


魔法を避け灰色狼の位置まで後退した。

この隙を使って鑑定さんを発動。

二足立ちの狼がバトルウルフ。

灰色狼はグレーウルフ。見たまんまだな…



「ウォォォン。」



バトルウルフが雄叫びをあげたのを合図に二匹は左右へ広がりながら距離を詰めてくる。



「"ファイアウォール"」



先にグレーウルフを仕留めるべく、レベルが上がり使えるようになった新たな魔法を行使する。


グレーウルフを中心に小さな円を描くように逃げ場のない炎の壁が展開される。



「ミリン。」



俺の声に応えるように動き出す。

従魔となり繋がりができたことで一部感覚が共有され、俺の意思を汲み取ることができるようになった。

ミリンに向かって"メテオシュート"を放つ。

バトルウルフと対峙していたミリンは後に目があるかのように絶妙のタイミングで屈む。

ミリンの頭上を通り抜け、バトルウルフの胸へとメテオシュートが炸裂する。



「グルゥ…」



風穴の空いた胸を抑え小さく鳴いてバトルウルフが崩れ落ちた。



「ミリン助かった。」


「いえ、ほとんど…トキヤ様!後!!」


「グルアァァ。」


「トキヤさまぁぁぁぁ」



完全に油断していた。

話半ばで驚きの表情で固まり、焦りを含んだ警告に振り替えるも既に肉薄し振り抜かれた腕が視界を埋め尽くしていた。


遠くで聞こえるミリンの悲鳴、吹き飛び背中へと感じた衝撃を最後に俺の意識は暗転した。


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