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石も使いよう


パチパチと爆ぜる焚き火を見ながら周囲へと意識を向け警戒をする。


昨夜は行動することなく、カメレオンを丸焼きにし食べた。

気合いで食べてみると鶏肉のような味わいに食が進んだ。


流石に匂いに他の魔物が寄ってくる可能性を考慮し、数百メートルほど移動して夜営する。


不安であったが見張りは交代で行った。最初に俺、その後にミリン。

1日2日では慣れないのだろ不安より疲労が勝り簡単に意識を手放してしまった。


夜半に起こされ交代し今に至る。

気持ちよさうに眠るミリン。

この少女が昨日までゴブリンだったと言って誰か信じてくれるだろうか。


空が白み始めた。

もうすぐ夜が開けるのだろ。



「おい、起きろ。」


「あともう少し…」


「───置いていくぞ。」


「─!!起きました!」


「それ食ったら行くぞ。」


「はい!」



勢いよく飛び起きたミリンに茸を差し出す。

食事をするミリンを横目に大樹を慎重に登っていく。



「前後よし!左右よし!上下よし!」



三度目の転落死は流石に願い下げだ。

フラグじゃないぞ!

きっちりと確認を行い危険に身を備える。



「近づけば近づくほどに途方もない大きさだな。」



河幅が数キロに及ぶと思われる雄大な河を眺める。

今日こそは河まで行きたいな。

確認もそこそこに悠長に時間をかけて危険が迫る前に大樹を降りる。



「おかえりなさいませ。すぐに出発ですか?」


「あぁ、今日こそ目的地に着きたいからな。」



降り立つと食事を終えた緑肌の美少女となったミリンが出迎えてくれる。

ミリンを伴い大樹の森を突き進む。



>>>>>>>>>>>>



「すごーい。」


「本当に壮観だな。」



雄大に流れる圧巻の大河を前にして俺たちは素直な感想を口から漏らしていた。


時々、小休憩を挟みつつ半日ほど歩き遂に大河へとたどり着いた。

勿論、ここに来るまでにダンゴムシの襲撃は両手の指の数を越えてしまった。

本当にやつらは俺を轢き殺したくて森を転がってるのではないだろうか。


因みに鑑定さんによるとこの河は【マザーリヴィエール】という名前らしい。

それ以外の情報は安定の文字化け。



「ここからは河を沿うように進むからな。」


「わかりました。─────ってどこ行くんですか?下流はこっちですよ?」


「はぁ…」


「私何か間違ったこと言いました?」


「言ってるからな。これだけ豊富な水だぞ必ず魔物が水飲み場として使っている。河に沿って行けば必ず遭遇するし、強力な魔物なら間違いなく死ぬ。だから、河から少し離れた位置を進む。」


「お~意外とちゃんと考えてるんですね!」



こいつ…

イラッとしたが表情から他意はなそうなことからグッと堪え流す。


河を視界に収めれるギリギリの距離まで離れて河と並走するように森の中を進んでいく。



「トキヤ様そろそろ何か食べませんか?」


「……」


「ねぇ、聞い「シッ──いたぞ!」」


「何が……」



河を只管並走し昼時になった頃にミリンが昼食を催促しきたが、言葉を遮り黙らせる。

河辺に目を向けると何かを食むように食事をしている魔物姿がある。

向こうがこちらに気づいている様子はない。


そっと鑑定さんを発動させるが距離があるからか反応してもらえない。



「ちょっとどこ行くんですか?」



魔物へと近づく俺へとミリンが小声で尋ねてくるが口に指をあてて静かにするように促す。


50メートルぐらいまで近づきもう一度鑑定さんを発動する。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

リエースカローヴァ


■■の森を生活の場として暮らすカローヴァ種の一種

巨大な角を使った突進は強力無比。


____________________



レベルが34で厄介そうなスキルが突進と…


背後を取れ、相手も気づいた様子はない。

暗黒魔法なら一撃だろうが、新しい技を試すチャンスだろう。



「今から攻撃するから、もし効かなくて反撃をしてきたら逃げるから準備しておけ。」



俺の言葉に非難の混じった眼差しを向けられたが気にせず、手頃な石を探す。



「スゥハァー」



1つ深呼吸をして体をリラックスさせる。

両手には俺の拳大の石。

これを使ってリエースカローヴァを狩れるか挑戦しますか。


そして、俺は夜営の見張りで暇な時間を使って身に付けた技を行使する。



「"メテオシュート"」



大きく振りかぶって石を放り投げる。

投げられた石は炎を纏いリエースカローヴァに向かっていく。



グモォォォ



メテオシュートは見事にリエースカローヴァの足をへし折った。

続けざまに2発3発と放ち四肢をへし折った。

リエースカローヴァは呻き声をあげ、もがくが折れた足では立つことは叶わなかった。


後は、簡単なお仕事。

少し距離をつめてミリンと魔法で止めを刺した。

石つえぇぇ。

石も使いようだな!


リエースカローヴァはそのまま昼食として美味しく頂く。



「トキヤ様」


「ん?」


「先ほどの魔法いつから使えたんですか?この数日で使ってるところみたことないですよ?」


「昨日お前が寝てる間にだな。」



肉を美味しく頂いてると気になったのかミリンが話しかけてきた。

質問に答えてやるとあんぐりと口をあけて驚くミリン。

口の中の咀嚼してたものが丸見えだ。

汚いから早く閉じて!

折角かわいくなったのに残念だよ…


"メテオシュート"は本当にミリンが寝ている間に、つまり夜営の見張りが退屈で眠りそうなのを誤魔化すために遊んでいたら出来上がった。


筋力値の補正である程度の威力が出せる石での攻撃に正確なコントロールを身につける為に大樹を的に石を数十回投げたら急に上手くなった。

異変にステータスを確認すると"投擲"のスキルを覚えていた。


調子にのって更に一時間投げ続けたらLv.2まで上げることができた。


流石に石を投げるだけでは飽きてきて何か他にできないかと考えあぐねて、ラノベ定番の付与魔法はできないかと石に炎を付与する練習すること数十分、見事石に炎を纏わすことに成功した。

ステータスにもしっかりと付与魔法が記載されていた。


あまりにも簡単に出来すぎて拍子抜けしてしまった。

これも加護のお陰なのだろうか…


覚えれてしまったものは仕方ないし、損はないかと切り替え、素早く魔法付与し投擲する練習を続けた。

そして、素早く付与するのにイメージ付けが良さげで安直だが技名をつけた。

わかってると思うが俺にセンスを期待するのは間違いだからな!


ミリンにはそんな感じのことをいろいろと端折って簡潔に説明した。



「トキヤ様すごいんですね!」



尊敬の眼差しは受け取るが、食いながら話すな。

口の中の肉片が飛んできてる。

本当にバッチぃから食べ終わってから話せよな。



「もう食えね~」



たらふく肉を食べ胃もたれを起こしそうな腹を擦る。

リエースカローヴァは見事に骨だけに成り果てた。

勿論俺は大食間ではないから足一本分も食べてない。

9割以上をミリンが1人で食した。

それもどこのサ○ヤ人かという勢いでだ。

こいつといいサ○ヤ人といい食べたものはどこに収まってるんだろうか。



「そろそろ行くぞ!」


「了解しました。」



少しばかりの食休みをとり、また河から距離をとり森の中を歩き続ける。

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