始まりです
私立西条学園
初等部から大学まであるエスカレーター式の学校で多方面にも力を入れている、実カ主義の学校でそこは多くの芸能人も在籍している事で有名だ。
これはこの学園を舞台にしたとある少女の物語。
真新しい制服に身を包み家のドアを開ける。
「静菜さん、行って来ます」
「行ってらっしゃい葵ちゃん」
「はい」
「ごめんね、二年生から編入する事になって」
「いいえ、元はといえば私のせいですから」
「でも...」
「大丈夫です静菜さん」
「...そう、じゃあ頑張って!」
「はい」
静菜さんに背を押され私は一歩を踏み出した。
雲一つ無い青い空そして
「キャーーッ湊様ー!!」
「見てっ雅樹様よ!」
「透くんかっこいい!」
「優李くんーっ!」
ーーー歓声
「...うるさいな...」
私、花山葵は一人呟く。
何がうるさいかは、分かってる。多分というか恐らく、原因はあの人達だろう。せっかくの編入初日なのにと溜息を吐いて騒ぎの元に目をやる。
そこにはキラキラした四人の美形集団がいた。そして彼らは編入初日の私でも知っている。なぜなら彼らは最近人気のアイドルだからだ。
「もう、透のせいで遅刻しそうになったじゃん」
明るめの茶髪で制服を少し着崩した少し背の低い少年。
名前はたしか坂本優李だ。
「ごめんって、優李」
髪を切り揃え制服も着崩す事なく着た清潔感のある少年。
名前は葉山透。
「本当、遅れなくてよかったな」
眼鏡をかけ少し長めの髪をした知的な雰囲気をした少年。
名前は霧島湊。
「そうだね、今日は編入生が来るらしいし」
暗めの金髪で背の高い少年。たしかハーフだったと思う。
名前は藍澤雅樹。
私がいる場外は少し遠く彼らが話している内容は聞こえない。
ちなみにこの学園には芸能科は無い。だから彼らは普通科だろう。この学園は多くの芸能人が在籍している事で有名なのだが、なぜか芸能科は存在していない。
「...あっ急がないと...」
私は学園に着いたら事務室に来るように言われていたのを思い出し急ぎ向かった。
「花山さんは、こちらでお待ちください」
私は事務室に向うと応接室に通された。
そして待つ事数分、二人の男性がやって来た。一人は初老の男性でもう一人は三十代くらいの男性だ。
「初めまして、校長の田村と言います」
校長先生だったのか。それにしても優しそうな人だな。
「初めまして、私は緑川と言います」
緑川と言った先生はもしかして私が入るクラスの担任かな。
「はい、初めまして」
とりあえず初対面なので挨拶をしておく。
「花山さんは緑川先生が担当するクラスになります」
「はい」
「そして花山さんの事情は緑川先生も知っています」
「...はい」
「あぁ、安心してください、緑川先生以外の方は知りません。そして緑川先生は信頼出来る方ですので」
「...そうですか」
「えぇ、他に気になる事はありますか?」
問われて少し考える。
「...特には」
気になる事は特になかった。
「そうですか?それなら緑川先生とクラスに行ってもらいますね」
「はい、よろしくお願いします」
「はい、それでは」
私は緑川先生とクラスに向かう。
もうHRが始まっているのか静かだった。
「花山さんはその前髪で見づらくないですか?」
私は目が隠れるぐらい前髪を伸ばしてる。それが気になったのだろう。
「えぇ、大丈夫です。それに目立ちたくないので」
「...そうですか」
「はい」
緑川先生も事情を知っているのでそれ以上は聞いてこなかった。
私はこの学園では目立つ事なく過ごすのが願いです。