表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

プロローグ

「♪♪♪♪~」

メロディーが絶え間なく響くこの感覚に、意識を集中させる。

場所は大ホール。並みのホールよりも音の上品さが大胆に、そして繊細に聴こえる。

ホール全体がゆったりとしたメロディーに包まれ、和やかな雰囲気になっていくことを感じる。

だが、それは長くは続かなかった。

途端、音楽が一転する。さきほどまでのパーティーのような雰囲気とは違う異質な雰囲気。

まるで戦場。

「音」という兵士が「楽器」という武器を手に、ぶつかり合う。ライフル、拳銃、刀、剣、戦車……

様々な武器を駆使し、戦う。だが、終わることが惜しいその音楽は確実に終わりに近づいていた。


「――ッ!!」


拍手と喝采が飛び交う。やりきった。俺は深々とお辞儀をし、足早に舞台を立ち去った。



金賞:弦楽 奏介


正直、俺の名前を見たとき何も感じなかった。バイオリンを弾いている時以外で達成感を感じたことはなかった。同世代のバイオリニストには俺に勝る者がいなかった。今思えば、それがつまらなくてしかたなかったのだ。


俺の心は、まるで音が鳴らなくなった楽器のように静かだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ