I love you
からり。ころり。
からり。ころり。
彼と私、2人の足元で下駄が楽しそうに唄う。
今日は十五夜。
『今夜は素敵な満月が見れることでしょう』
にこやかなお天気お姉さんの言葉につられて、私たちは河原へと出掛けていた。
「せっかく月見に行くならね」
そう言って着せられた浴衣には白地に美しい朝顔の花が咲いていて。
「やっぱり舞美にはこれが似合う」
柔らかく笑った彼を見て、耳まで熱くなった。
少し低めの大好きな声でそんなことを言う彼の手を
「もう!!早く行くよ!!」
なんて強く引っ張った私は悪くないはずだ。
でもおとなしく隣にならんだ彼の、男らしく筋張った手にまた胸が高鳴って。
結局、ずっとどきどきしながら道を歩いた。
2人の隣を流れている川にはまん丸な満月がうつっていて、思わずほっと溜め息をつきたくなるほど美しい。
ぼおっと眺めていると手を握られる力が大きくなって、彼を見上げた。
自分が見られてることは気づいてるだろうに、私の手を強く握った本人は私を見ることもなくそっと口を開き、
「月が綺麗ですね」
穏やかな声色で告げた。
それは、普段から“かわいい”とかは言ってくれるけれど、肝心なことは言ってくれない人の精一杯のことば。
だから。
「死んでもいいわ」
不器用ながらもいっぱいの愛をあなたに送ろう。
読んで下さり、ありがとうございました。
少し文章の解説といいますか、キーワードの意味なのですが、
朝顔…愛情(花言葉)
月が綺麗ですね…英語の「I love you」を夏目漱石が 訳したもの
死んでもいいわ…ロシア語の「I love you」を二葉亭 四迷が訳したもの
こういうことになってます。
少し前に見つけたこの素敵なフレーズ。
どうしても使いたくて短いながらもこのようになりました。
少しでも楽しんで頂ければ幸いです。