Ep1:Doomsday
それから男は病院に運ばれた。
私たち二人は首狩り事件の犯人に襲われ、男がかばったということにした。
そして、あれから一年がたった。
無事に男は退院し、わたしはすでに進級した。
クラスでもうまくやっていて、全てが順風満帆だった。
ああ、これが私の求めた理想の場所なんだ。
私はようやく自分の手でこの幸せを取り戻したんだ。
首狩り事件の犯人が捕まった。
犯人は何と少女だったのだ。
「ふん・・・幸せそうにしやがって・・・異常者のくせにむかつくやつだ・・・」
「そういうな、あいつだって人間なんだ。まずは精神のケアが必要なんだとよ」
最新の設備による精神療法の一つ、VR療法。
TVゲームを応用したものらしい。
まるで本物のようで、そのすべては限りなく現実に近い。
ありきたりではあるが、どちらが現実かもわからなくなるほどだ。
「・・・あんなの人間じゃないですよ。まるで悪魔だ」
確かにこの少女の犯行は常軌を逸していた。
とてもまともであるとは思えない、そう言った犯行だった。
「まさかかわいそうだとか思っているんですか?あんなクソ野郎に」
「・・・人間最初から極悪人な奴なんていやしねえよ。ただ単に巡り合わせが悪かっただけさ。次にその一歩を踏み外すのは俺たちかもしれないんだ。あまりバカにしてやるな」
本当にここは理想の場所だ。
友達はみんな素直で、偽りの仮面を脱ぎ捨てている。
裏切りも虚栄心もない。
かといって、自らの欲望に流されることもない。
とてもとても平和で理想的な日常。
それが私はほしかったんだ。
それだけが私の望んだことだったんだ。
・・・これでいいんだ。
一応これで第一章は完結です。
第二章からはおそらくまったく別の話になると思いますが、できれば応援よろしくお願いします。
ちなみにネタ切れのため更新が遅れます。