Ep1:6
PVが昨日の倍近くになっていたことに衝撃を受けました。
あ、お気に入り登録も感謝です。
さて、あの男にはちょっとしたプレゼントをしておいた。
いわゆる脅迫状である。
邪魔なあの女もいなくなり、今の私はとても気分がいい。
惨殺するのもよかったが、そうすると証拠が残ってしまう。
ここは確実に証拠の残らない方法をとるべきだと思う。
今回は正当防衛という方法をとろうと思う。
つまり、だ。
「・・・サイテー」
「な・・・なんだよ、急に・・・」
こいつはまた別の彼女を作っていたらしい。
あの女ども三人と仲は良好だったはずだが、いなくなったとわかった翌日にこれだ。
「全然心配とかじゃないんだ・・・。それに・・・もう新しい彼女作ったの?」
「お、お前には関係ないだろ!」
「なーにーこいつーマジキモー」
くちゃくちゃとガムを噛みながら言ってくるチャラ女。
・・・面白いじゃないの。
出会ってそうそういきなりとは、お前も気持ち悪いことに変わりはない。
私は心の中でまずは先にこいつを殺すことをメモする。
「い、行こうぜ」
「ぺっ」
私の足元にガムを吐き出してくる。
随分わかりやすい挑発じゃないの。
なら、その挑発にのってやろうじゃないの。
そのチャラ女はちょっとした成金だった。
世間体を強く気にする家庭で、家ではとてもお淑やかなお嬢様っぽい感じらしい。
「あー、あんまりかかわらないほうがいいと思うよ」
とは、あの後できた友人第一号の発言。
この人はバリバリお嬢様である。
「わたしもさー、なんか誘われたのよねー。しかも、うちの兄貴と結婚しようとか何とかそういう話もあったみたいだし」
「なにそれ・・・」
「ま、ぶっちゃけるとあいつは結構嫌われてるってわけ。その男子も相当バカなのか物好きなのか・・・とにかく私はあんまりかかわらないほうがいいと思うけどな」
確かにそうだが、このやり場のない怒りはどうすればいい?
今まで散々抑圧されてきたんだ。
これからは押さえつけられることなく自由に生きるんだ。
翌日。
「てかさ、ぶっちゃけると友達少ないよね」
「そ・・・それは言わないでよ・・・」
悪意はないことはわかるのだが、どうもオブラートに包んで話すということを知らない。
それがこの友人第一号りえの欠点であった。
しかし、誠実で嘘をつくこともなく常にまっすぐ自分と向き合ってくれる。
たいていの人からは嫌われないような人間だった。
「私が紹介しようか?バカと変態しかいないんだけど」
そして、口が微妙に悪いことも欠点である。
「いや、大丈夫だよ。それより話って何?」
「あー、例の女子生徒とバカ男子だけどね。なんか別れたらしいよ」
たぶんチャラ女と男のことだろう。
どっちもろくでもない人間だったが、浮気男への脅迫はうまくいったみたいだ。
もちろん私とは思ってもいないだろうが。
大方全く別のやつに聞いて回っているんだろう。
「・・・何したの?」
「何が?」
「いや、いくらなんでもタイミング良すぎない?ちょっと怪しいなーって・・・」
・・・なにこいつ。
やっぱり私の友人じゃないわけ?
敵なの?
・・・ならこいつも私をもてあそんで楽しんでたわけね。
「疑ってるの?」
「まあねー。でもさ、それならどうやったのか知りたいんだよね」
「・・・どうして?」
「いやさ、あいつらクッソうざかったでしょ?だから、黙らせたりいうこと聞かせたりできる方法教えてほしいなって話」
本当になんなんだろう。
敵なのか友人なのかもわからない。
どちらかというと中立なのだろうか。
私がどういうことをしたのかはわかっている、おそらく詳しい内容まではわからないが概要ぐらいまではしっているだろう。それはおそらく前の三人にも言えることだろう。
なら何が目的?
自己満足の探偵ごっこってわけ?
「・・・ちょっと喉乾いたから水飲んでくる」
「・・・」
何も言わなかったが、その目は『言いたくないなら言わなくていい』と言っていた。
しかし、それがどうも墓穴を掘る行動のような気がしてならない。
もし敵だったのだとしたらなにかしらの行動を起こしてくるだろう。
そうしたらお前もぶっ殺すだけだ。
「クソッ!クソッ!!クソッ!!!」
あの男はまたフられたようだ。
この男は最初はろくに調べもしなかったが、ろくでもないやつなようだ。
飲酒に喫煙といった定番からこの女癖の悪さ。
そして、その扱いも自分が満足したらすぐに捨てる。
よく今まで彼女ができていたものだ。
「・・・それもこれも・・・全部あいつらのせいだ!!あいつらが・・・きっとあいつらの誰かが俺に恨みを・・・!!」
その手に握っていたのは紛れもなく私が送った脅迫状。
あいつの中では私は今でもメロメロらしい。
普通は昨日私がとった態度で少しは憎んでいることがわかるはずだが、そこはやはり頭が残念なだけはあるらしい。
「なんでだよ・・・!俺が何をしたっていうんだよ・・・!!」
・・・今ならいけるかな?
私は手にしたバールに力を籠める。
そして、こっそりと後ろから近づこうとして・・・。
「っっ・・・」
私が殴る前に誰かが殴ったようだ。
だいぶ恨みを買っていたのだろう。
「てめえ!よくも俺のカノジョにてぇ出しやがったな!この変態野郎!!」
「な・・・ちが・・・何の話だい・・・?」
「とぼけやがってこのクソ野郎が!」
「ぐぁ・・・っ」
「へっ、よく飛ぶ野郎だ」
「ちげーねーちげーねー!」
校内でも有名な不良集団に取り囲まれたあの男。
どうやらあの不良集団の彼女にも手を出していたらしい。
こうなってはもう終わりだ。
しばらくは出会う旅にリンチされるだろう。
彼らはあの三人組といって容赦をしない。
元から目をつけられていて、問題児として飽きられらているのだ。
それに、普段からこのようなリンチまがいの行為はやってきているのだ。
いまさらということもある。
「ぐぞ・・・ぐぅ・・・なんで・・・おれが・・・ごん・・・な・・・」
保健室にでも行こうとしたのだろう。
校内に入ろうとしたところで力尽きてしまう。
・・・落書きでもするか。
「てめえ、まだいやがったのか!この野郎!!」
「うぐぁ・・・もう・・・やめ・・・やめ・・・」
あれがおそらく以前の私なのだろう。
めっちゃ気分がいい。
だけど、この手でフルボッコにしたい気分である。
なんか複雑な気持ちだなあ・・・。