EP1:3
タイトルを編集段階のまま投稿してしまうこの愚行。
※現在はなおっています。
「てめえ!この野郎!どのつらさげてここにきてんだよ!!」
昼休み。
教室の前でとある男子生徒が女性に絡んでいた。
そいつは女子生徒でもなければ、女教師でもない。
あ、どうでもいいけど一部の男性の間では女教師というだけで興奮する不埒な輩がいるらしいので、みんなも言動には気を付けよう。
「っ・・・あ、あなたこそなんなのよ!?い、いきなり・・・」
「あ?てめえパーかっての。俺お前に何度もあってるぜオバハン」
「お、オバ・・・わ、私はあなたみたいな失礼な奴に見覚えはないわ!」
リーダー格の女もそちらのほうを向く。
まあ、私にはどうでもいいことだがとてもうるさいので、いやがおうにも聞こえてしまうわけで。
「はあ?こりゃあ本格的にパーだな。いや、歳のせいか?ならてめえはババアだな。バ・バ・ア!」
「バ・・・バ・・・ア・・・?」
「あ?日本語通じてる?ってか、ひょっとしてだけどこういわねえとわかんねえ?」
「・・・・・・・な・・・なにを・・・」
「『ご・老・体・の・ク・ソ・バ・バ・ア』ってな!」
「ご・・・そ、それにクソ・・・だなんて・・・な、なんて失礼な!親の顔が見てみたいわ!」
「は?今のはあいつが言ってたことだぜ。あ、ちなみにあいつってのはあんたの娘さんな」
どうやら、オバサンのほうは私が爆破工作した家の母親だったらしい。
まあ、娘が全身やけどしたから学校側となんかいろいろ話していたのだろう。
こういうのって保険金とかって出るのかな。
「何をでたらめな!?いい?娘は植物状態で今も生死をさまよっているのよ!?それを・・・!それをそんな侮辱するなんて・・・!!」
と、そこでリーダー格の女が立ち上がって、教室から出ていく。
よし、これで邪魔者は消えた。
あとはお前があのうるさいやつをぶっ飛ばしてとっとと退学になればいいんだ。
「あのさー、さっきから聞いてればアンタなんなわけ?」
お、乱入したようだ。
これであとはあいつが適当にフルボッコにして、退学になれば完璧だ。
「こいつさー、一応あの子の彼氏なわけよ。んでさ、彼氏彼女ってのは親子以上に親密なわけ。へーきでヤるし、へーきで親に言えないようなことも言い合ったりするわけよ。それがこういってんだから事実って認めなよ」
「あ、あなたこそなんなのよ!?いきなり出てきて・・・」
「あのさ、言いたくないんだけどさオバサン」
「あ、あなたまでそんな失礼な・・・!」
ちょっと面白そうなので、外に出てみる。
・・・結構人集まってるなー。
「アンタさ、正直迷惑なわけ。いいだけ騒いでさ。それで侮辱だの失礼な奴だの、なんかわけわかんないこと言ったりしてさ」
と、そこでオバサンはようやく周りに気づいたのだろう。
自分に向けられている白い眼を。
その目は娘が生死の境をさまよっているという悲しい状況に打ちひしがれた家族にむけられるものではなかったのだ。
(本当は放火みたいなものなんだけど)これが放火だったりしたら別だろう。
しかし、これは当事者同士の不注意なわけである意味加害者であり、つまりは自業自得なのだ。
それなのに悪びれた様子もなく被害者面、そのうえ娘の彼氏の顔さえも覚えていないという。
いかに無関心であったか、そしてその無関心さは自分以外のすべてに向いているのではないか、とさえ周りの目は物語っている。
母親とは一般的に言って、家事全般をこなすものだ。
これはただの偏見ではあるが、ここにいる大体の人間はそう思っているだろう。
そして、その偏見はこの母親にも向いている。
いったいこの母親の家はどんな生活をしているのだろうか。
本当にこの母親は家事をこなしているのだろうか。
もしかして自分以外、つまりは家族さえにも興味がないというのではなかろうか。
そう思っているのは明白だった。
「な・・・何よ!?あなた達みんな私が悪いっていうの!?わ・・・わたしは被害者なのよ!?」
「・・・はあ?自業自得だろ?」
「確かにそーだよな。ニュースでもゴム管の経年劣化って言ってたし」
「経年劣化ってことは要は注意不足ってことよね?」
「そ・・・それは・・・」
周りからの声に思わずオバサンも言葉に詰まる。
・・・思えば、あんな娘が生まれたのはこの親の責任ではなかろうか?
では、私の復讐対象はこいつとその夫、そしてほか三名の両親もあてはまるのではなかろうか。
そう考えているうちにそのオバサンは何も言わずにただうつむいて帰っていった。
と、いい話風になってはいるものの。
実際復讐対象が増えただけであのリーダー格や取り巻き女への対応は変わらない。
仲間を守るといっても、守った仲間がクズでは大して感動的でもその人が実はいい人だったということにはならない。
単純に自分がむかついたから。
みんなが迷惑している奴をぼこぼこにして、みんなのちょっとしたヒーローになれた優越感に浸りたいから。
それだけだろう。
事実、そのあとリーダー格の女はちやほやされていてすごく満足げだった。
わたしもそれにならわないからまた呼び出されて殴られたりしたぐらいだ。
そして、また新たな取り巻きも増えた。
そいつらも同じようにして殴る蹴る、おまけにスカートをめくって窓際に立たせたりとさらにエスカレートしたので、こいつらも同じように殺すことにした。
・・・その中には友達と思っていたやつもいた。
友達とはいかなくてもそんなことをする奴だと思っていなかったやつもいた。
プリントを配るとき手伝ってくれたり、学校祭の準備を手伝ってくれたり、毎朝挨拶をしてくれたり、そして、以前心配して駆け寄ってくれた男子生徒の姿もあった。
もちろん期待はしていなかった。
最初から見方なわけがないんだ。
こいつらはわたしのヒーローになってちやほやされて、そしてその小さな優越感と欲望を満たそうと思っていた醜い連中。
人の弱みに付け込んで骨の髄までしゃぶりつくしたらあとは捨てるだけの存在、それがこいつらにとっての私だったのだろう。
使い捨てのおもちゃ以下の存在である。
・・・許さない。
絶対に許さない。
決めた。
こいつらは全員敵なんだ。
この学校に味方はいないんだ。
全員敵だ。
すべてが敵だ。
みんなみんな死んでしまえばいい。
私と同じ苦痛を味わって。
私と同じ気持ちを味わって。
私と同じぐらいいじめられて。
そして死ねばいいんだ。
そうだ。
みんな殺してしまえばいいんだ。
だけど、それは簡単なことではないし、不可能に近い。
だからまずは予定通り残り三人。
そう、あの取り巻き女から殺す。
もう、脅すとかそんなじゃない。
絶対殺す。
だってこいつら全員私の敵なんだから。