Ep2 2
やっべ、タイムトラベルものの海外ドラマ見てたらもう一週間近くたってた!!
・・・本当にすいません。
「ど・・・どこへ連れていくんですか!?」
「・・・」
「こ・・・答えてください!」
頭に布をかぶされ、周囲の状況がわからない。
車に乗せられたのまでは覚えているが、それ以上はわからない。
おそらく矯正施設なのだろう。
だが、それがどんなところかはわからない。
いったいどうなってしまうのだろうか・・・。
「ようこそ、よーこそ!スマイルランドへ!!」
車から降り、布を頭から外されて真っ先に目にしたのは・・・『笑い』の表情を浮かべたピエロだった。
・・・なんだこいつ。
「君は惜しくも社会に適合できなかったみたいだけどぉ???」
そういって近寄ってくる。
その後なれなれしく僕の肩に腕を回して、仮面越しにキスをしてくる。
正直うっとうしい。
「ここでしっかり構成すれば君もまた素晴らしい理想的な人間を目指すことができる選ばれた国民の一人になれるよ!!」
今度は背中をバシバシと叩いて激励してくる。
このテンションについていくのは難しそうだ。
・・・しかし、うわさに聞いていたのと違う。
もちろん噂話など『太郎』や『花子』はしないが、自然とそういう話は聞こえてくるのだ。
いや、逆に言うと噂話ではなく一つの事実として聞いた話ともいえる。
矯正施設は地獄だ、と。
内心不安を抱えつつも僕はここで過ごすことになった。
まず割り当てられた部屋に行くことになった。
荷物などもある程度は運ばれているらしく、部屋のネームプレートにはしっかりと央山の二文字。
行く途中でピエロから聞いた話によると個室らしく、ちょっと貧相なホテルのような感じだ。
僕が持っていた矯正施設のイメージからすればだいぶ好待遇といえる。
「そうそう、これが君への宿題だ。それをしっかり読んだらご近所さんへのあいさつ回りもちゃんとしておいてね?わかった人-???」
まるで小学生がやるように片手を高く上げるしぐさをするピエロ。
これは僕にもやれということなのか。
「わ、わかりました!」
「んー????そこは元気よくはーい!だよはーい!!はい、もう一回!わかった人ー???」
「は・・・はーい!!」
一応矯正施設ということで監督役の言うことには従っておくべきなのだろう。
僕は何の疑いもなくピエロの言われた通り元気よく『はーい!!』をする。
こうして、誰かに指示をされるのは見守られている気がして非常に心地よいし安心感を覚える。
「そうそう!じゃーねー!」
戸をバタンと閉めてピエロが去る。
それにより、部屋に一人取り残されることになった僕。
さて、この渡された紙には何が書いてあるのやら・・・。
『笑顔いっぱい!スマイルランド!!
この場所では皆さんの暗い気持ちを癒し、少しでも晴れやかな気持ちで未来への新しい一歩を踏み出すべく、住人全員の晴れやかな笑顔をすることを義務としています!
みんなも晴れやかな笑顔で未来への一歩を踏み出そう!!』
あとはやることリストがずらーっと書いてある。
しかし、いつも笑顔か・・・。
ちょっと洗面所に行って練習してくるか。
「うぬぬぬぬ・・・」
なんとか形にはなったがやはりひきつっている。
一応これでも大丈夫だろう。
次はあいさつ回りだ。
「(にこにこ)」
「こんにちは」
「やあ、新入りかい?」
すがすがしい笑顔を浮かべてくるスマイルランドの住人。
白い歯がまぶしい。
なるほど、そういう歯を見せたりすることも大事なのか。
「ん?君少し笑顔がひきつっているね?」
「あ・・・ばれました?」
「うんうんうん!わかるよー?わかっちゃうんだよなー??よければ、僕が教えてあげようか??」
・・・なんだろうか。
雰囲気が怖い。
確かに笑顔がまぶしいのだが、何か・・・そうだ、目が何か得体のしれないもののようだ。
これではまるで悪魔のような・・・。
「お、お願いします」
気が付いたらその言葉を口にしていた。
そんな不安よりも長年にわたって積み重なれてきた『指示される快感と安心感』。
その言い知れぬ感覚には逆らえなかったのだ。
「まあ、汚いところだけど入ってよ」
「!?」
その部屋は何か・・・おかしかった。
見た目は小ぎれいにまとまった部屋。
しかし、なにか・・・何かがおかしい。
狂っているというほどではないが、日常的とはいいがたい雰囲気。
押し寄せる非現実感。
「さて、それじゃあ」
ゴツンと思いっきり頭を床にぶつける。
鼻を強打したせいで鼻血が出たらしい。
もちろん転んだわけではない。
例の住人に床に押さえつけられたのだ。
「さ、仰向けになって???」
今度はすごい力で仰向けにされる。
仰向けにされると鼻がずきずきと痛み、血がドロッと流れ落ちて気持ち悪い。
「つぅ・・・な、なにを・・・」
「表情を和らげるんだよ。ほら、笑うことは『破顔』っていうだろ?だからさ・・・」
そして、ハンマーを部屋の棚から取り出す住人。
や・・・やめろ・・・。
「や・・・やめ・・・」
「ハハハ、いつでも笑顔、破顔することを忘れなちゃいけないよ?だから、僕はその手伝いをしてあげるんだよ。ほら、これで君も素敵な笑顔ができるようになるからね」
痛い。
顔じゅうが痛い。
起きたらベッドの上にいた。
学校の保健室のような場所に似ているがどこか違う。
はじめは寝ぼけていて夢とも思えたが、顔の痛さがあの出来事をすべて現実だと教えてくれた。
確かにここは地獄だ。
「っつぅ・・・」
しゃべろうとすると口の周りの筋肉がひどく痛む。
鏡を見たら顔全体が包帯まみれだった。
これじゃあ、まるで大やけどを負ったみたいだ。
「おやおやおやー???初日からとは災難だったねえ??」
またあのピエロがやってくる。
「っっ・・・ぁ・・・っつ・・・!!」
抗議の声を上げようとしたが激痛が走って何もしゃべれなくなってしまう。
このどうしようもない状況に救いがほしくて懇願の視線を送る。
「大丈夫だよ、安心しなって。今の君の顔は確かにぐちゃぐちゃだから特別待遇を与えよう!!」
そういって取り出したのは仮面。
ピエロがしているような笑顔の仮面だ。
「ななななんと!これをつけている限り君は笑顔をしていることになる!!」
笑顔・・・。
つまりそれをすればもうあんな目には合わないんだ・・・!
「うぅ・・・つぅ・・・つぁぁぁ・・・・!!」
僕はその仮面に向かって手を伸ばす。
言葉にならない苦痛のうめき声でもこの動作を見れば何を欲しているのかはわかるはずだ。
「うんうん!君の意思はよくわかったよ!それでは君にこの仮面を授けよう!!」




