第七話 予知夢
あれから二日が経った。
誰かに会うことも必然的になかったが、そろそろ気になりだした。
まだ泣いているのだろうか。
俺はこうだけど普通にみんなで会っていたりして。
そういうとこで不安になった。
住宅が集う通りまで歩いて来た。
目の前に一台の大きなトラックが止まった。
運転手がインターホンを押したその家は、豪華でいかにもお金持ちの風格そのものだった。
玄関の、人を脅かす、高級に造られた立ちはだかる門。
出てきた住人は至って普通でその風貌が逆に充実感を匂わせていた。
トラックから降ろされたそれは、この家にぴったりなピンクのソファーだった。
その時、思い出した。
昨夜、夢で見た一番印象に残っている、あのソファーだ。
これは予知夢か?
だとしたらベージュの壁も絨毯もこの家の中のことなのだろうか。
でもアナログテレビは。
そんな物置いてあるわけがない。
「今日一日晴れることでしょう」
不意に話し掛けられたと思って真横を向いた、
ショーウィンドウに置かれたアナログテレビがあった。
だが聞こえたのは横にあるラジオからだった。
「平成二十四年 三月三日、午前八時二十三分をお知らせします」
とラジオから流れる。
予知夢を見れたかもしれないこの出来事にしばらく浸っていた。
映らないテレビを見ながら。