第六話 弾きあう色彩
口を四角に目を細め涙、汗諸共混じり合い時折よだれを吸い、跪いている仲間。
心が痛む感情の涙。
「何も変わらないよね。人生」
変わらないよ。人生なんて同じ所を廻っているだけなんだから。
しばらくして、このモヤモヤした気持ちを落ち着かせたかった俺達は、何処か静かな所を探して歩き続けた。
結局顔を見ることは出来なかった。
それどころか明人の泣き顔ばかりが頭を過ぎる。
守れるものは守りたい。
あ、夢が始まる。昔から現実と夢の区別が判る体質だった。
ソファーに座り体の中心に寄せるように縁に手を置き前のめりになって、目の前のテレビに釘付けになって観ている自分。
テレビもまた、四角く小さいアナログテレビ。
真っ白じゃないベージュの壁、空飛ぶ絨毯のような柄のカーペット。
ゴミ箱一つ生活感の出る物はない。
狭い部屋にソファーの華やかなピンク色が全体を妖気くさせていた。
不気味で不自然だ。
でもその部屋は慣れ親しんだ実家と同じ構造で、
けして真新しい近未来型ではない。
そんな部屋の中、自分が釘付けになっている映像はマジックショーだった。
顔も知らない人がキューブのような物を浮かせている。場面は所々飛ばされ、一瞬にしてマジックショーは終わり、今度は外の景色に変わった。目線は高く高く体を打ち付ける風の振動が伝わるようだった。
そこから急降下し地面に顔が当たる寸前に目が覚めた。
いつも決まって死ぬときを見れない。
危ないと感じてないときに目が覚めたときの事は、きっとその瞬間自分は死んだということなんだと思う。