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ビー玉  作者: ria
5/9

第五話 染みた色は

透明か赤か


「犯人のこと聞いたか?」とけっくんが聞いてきた。

「うん。少し」

「警官になんで十年も捕まえられなかったのか聞いたら、苛つかせちゃったよ」

と口角を下げ悪く笑う。


「聞いたんだ」と玄二は面白そうに笑い、

「聞いちゃ駄目だよ、そういうのは」とお説教混じりに明人も笑った。


「聞くだろ普通」と、けっくんらしい返し方。


通りすがる人の目が痛かったのもあって、

もう十分涼んだことだし帰ろうと思った。



その時ちょうど真横の扉が開いた。

そこから出てきた二人の男とフードを被って顔を隠した男。

その男は異様な雰囲気を漂わせながら俺の目の前を通る。


最後尾にさっきの事情聴取の警察官が居た。

「お前達まだ居たのか」と言った目がどこか泳いでいる。

そして泳ぐ目が一瞬フードの男を見た。


なんだろうこの気分......

ふと脳裏に浮かんだもう一人の俺の存在。




見たい


そのフードの下が見たい


気になる。


好奇心で溢れた心は、一点を見つめて放さない。


フードから時折、微かに覗く固く閉じた口元が、

空気の通り道を作るように緩んだとき、男は足を止めた。


そして男は、指を突き出し言った。

「刑事さん、こいつも仲間ですよ。この手も血に染まってます」


指の先に居たのは、明人だった......

「意味が分からないんですが、何なんです

かあなたみたいな......」


明人はそこまで言って言葉を詰まらせた。


皆この男が誰なのか分かっているようだった。


「人殺しが」

全てを分かっていたように男が不意に口にした一言に、

自分が染まっていくような恐怖に怯えた。


視界に滲んだ汗が“見ちゃだめ”と言ってるように、光を封じ込めた。


しかし耳から入る情報が想像という名で、眼に映し出してくれる。


争う声が高低し気になった言葉が、より高く響く。


静かになった気配から、急に変わった足音が遠ざかって行くようだった。


涙に変わった汗を拭いみた。


誰かに肩を掴まれ、気が付いたら走っている明人の後ろを追いかけていた。

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