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人身事故。
【2番線に電車が参ります、白線の内側に下がってお待ちください。】
お昼過ぎ、無人駅のホーム。
辺りには誰もいない。
『お前、生きてても仕方ないから、ほら、はやく飛び込めよ?』
「う…うぅ…」
どさっ…ごきごき…ぐちゃ…。
グロテスクな音と共に血飛沫や、肉片が宙を舞う。
先頭車両の窓は血で染まり、外にも聴こえるほどの、叫び声。
駅付近の住民、電車の乗客に戦慄をもたらした。
『石滝さん…うぅ…うぅ…何故…』
衣服や顔を真っ赤な血に染め、飛び込んだであろう人の名前を呼びながら、さっきまで横に寄り添っていた青年は泣き崩れていた。
涙を流しながら、地面を拳で叩く。
しかし、何故か、目は笑っているように見えた。
【本日、午後3時頃、町川駅にて人身事故が発生したため、電車の運転を見合わせております】