カイちゃん
カイちゃんは、おばあさんのおせわをしていたロボットです。カイちゃんは力もちで、かんたんなおはなしができます。わたしがうまれる前からうちにいるそうです。カイちゃんはおとうさんやおかあさんやわたしがいない昼ま、ずっとおばあさんのおせわをしていました。
ある日、おかあさんが、「先月におばあさんがなくなったので、カイちゃんを市にかえさなくてはいけない」といいました。わたしは「カイちゃんは家ぞくではないの?」ときくと、「家ぞくだけど市のもちものなで、いらなくなったら返すきまりになっているの」と教えてくれました。家ぞくなのに市のもちものだというのが、わたしには、よくわかりません。
ですが、カイちゃんはどうしてもうちからいなくなってしまうみたいなので、「たまには会いにいっていい?」ときくと、「でも、返したらオーバーホールをされるからなあ」とおとうさんがいいました。「メモリーもリセットされる決まりだし」。
おとうさんがいっていることがわたしにはよくわからなかったので、よく聞いてみると、カイちゃんはバラバラにぶんかいされて、わたしたちのこともわすれてしまうそうです。パパは「これは決まりだから、どうしようもないんだよ」ともいいました。わたしは、おばあさんがいなくなって、カイちゃんまでいなくなるのがとてもかなしいと思い、なきました。
カイちゃんはわたしに、「もうぼくのおしごとはおわったんだよ」といいました。「だからなかないで」と。「カイちゃんは、ぶんかいされてもいいの?」と聞くと、「ぼくにはかんじょうがないから。たぶん、なにもかんじていないんだと思う」といいました。わたしには、カイちゃんがいうことが、よくわかりません。
この前の日ようび、カイちゃんは市の人にかいしゅうされていきました。市の人がスイッチを切るちょくぜん、カイちゃんは「ぼくにことでいつまでもかなしまないでね」といって、動かなくなりました。足だけは市の人がおせばうごくのですが、なにもしゃべれなくなりました。カイちゃんはそのまま大きな車にのって、どこかにいってしまいました。
これが、わたしがさいきんかなしいと思ったできごとです。




