アスファルトの下を這う龍について
その龍はほとんどどこへいっても棲息している、極めて普遍的な存在であるのだが、生態はもとよりそんな龍が存在しているという事実さえ知る人は少ない。
別に神秘的な存在であるから、とかそんな理由ではなく、ただ単に新月の晩にしか姿を現さないので目撃できる者が少なく、アスファルトの下など地面の下を回遊する性質があり、なおかつ全長百メートル以上、胴体の直径だけでも数メートルという巨大な体躯を持つため、仮に目撃したものがいたとしてもそれが龍だとは気づき辛いからだ。
その龍は都市部の地下を好んで回遊する性質を持つのだが、目視はできるもものの物質的な存在ともいえず、その証拠に地下に張り巡らされているケーブルやガス管、下水道などににもまったく干渉することなく地中を移動する。
その姿を目撃した人々は決して少なくはないのであろうが、その意味を理解できる者は極端に少なく、たいていは気のせいか錯覚のせいにされ、はては、なにを見たのか疑問にすら思うことなくそのまま忘れ去られてしまう。
かような次第で、そんな龍が存在することを知る人はいまだに極端に少なかった。




