友達売ります
意外にぼっちの人が多いようなので、知り合いに声をかけて「友人バンク」というものをでっちあげてみた。
会員制で、一月当たりいくらの会費を支払えばしかじかの人数の友人、として振舞ってくれる人を紹介しますよ、というやつ。
紹介する友人の人数やつき合い方の度合いによって、かなり細かくランクを設定した。
最低ランクは一人、メル友レベルから、最高ランクは人数無制限つき合い方も制限なしまで。
いうまでもなく、最低ランクは低価格に、最高ランクは非現実的なほどの高額に設定している。
よくある出会い系と間違われるのも困るので、会員の側から紹介をする友達の性別は選べないようにした。
もっとも、会員の側から特定の友人に対して「以後の接触を禁止する」設定は可能ではあるので、課金を惜しまず、なおかつ、異性を惹きつけるような交渉術を持っていれば、そういう使い方も可能なわけだが。
当初はキワモノで終わるかと思ったこの企画は、予想外にうまくいった。
友人バンクに登録する年齢を成人以上に設定した以外に、ことこちらからは制限しなかったことと、それに、本当に人恋しい人は、会員になるよりも友人バンクに登録した方が効率がいいということが周知されたからだ。
というか、実際にやってみて驚いたのだが、世間に他人との触れ合いに飢えている人が、予想外に多かったのだ。
結果として、ノリと勢いと思いつきでこうしたシステムを構築して周知したおれたちの懐は多いに潤うことになった。
まあ、それ自体は、めでたしめでたしでまことに結構な結末ではあるんだけれど。
ひねくれ者のおれなんかは、
「そんなに友達が欲しいのならば、こんなシステムに頼る前に、友達くらい自力で作れよ」
などと思ってしまう。
かくいうおれは、知り合いは大勢いるけど友人と呼べる人は一人もいない。
いて欲しいとも思わない。




