表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

パンドラの箱

『行ってきまーす』

春は雑にスニーカーに足を突っ込もうとする。

スニーカーという代物は歩きやすい。

何処に行くにも疲れない。

それは非常に有難いのだが…

僕は靴紐が大嫌いなのだ。

履いて結んでという仕組みが好きになれない。

要は面倒くさい。

嫌なことは誰だって避けたいはずだ。

無くなってくれれば何も言うことがないが歩きやすいから仕方ない。

「人生は辛いことのほうが多い」とか誰かが言っていた。

楽なことは少ないらしい。

学生の身分の僕がその言葉を口にしたら大人たちは鼻で笑うんだろうか。

見た目だけで判断してくるのは大人の悪い癖だと思う。

皆がそんなわけじゃないのに…。

頭の中で何かをこじ開ける音がした。

僕は唇を噛み締めた。

『これじゃ前と同じじゃないか』

抑えきれない程の感情が込み上げる。

『なーにブツブツ言ってんのー』

ハッとして我に帰る。

振り返ると母親が首を傾げていた。

『脅かすなよ。びっくりするじゃん』

話をそらしたくて急いで靴紐を結ぶ。

立ち上がり玄関を開けようとした瞬間。

『今日から当分の間、家を開けるからよろしくぅ‼︎』

あまりの突然さに勢い良く体を回す。

母親の顔には満面の笑みがこぼれていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ