Action.2 ミッドナイト
※前回のあらすじ
新米クライムファイターとしてアメリカの街へ飛び立った、ちょっとヲタク気質の青年、カント・ウエシバ!
自慢の合気道が唸りを上げるも、4人の犯罪者に囲んで棒で叩かれてしまう!
そこに現れる一つの影!カント青年の明日はどっちだ!
目が覚める。
カントが混濁した意識を取り纏め、ゆっくりと瞼を開く。
すると目の前に映ったのは、見たことのない天井であった。
慌てて身体を起こそうとするが、身体が引き攣れる様な痛みに顔を顰める。
よく見れば身体には包帯が巻かれていて、どうやらその下には湿布等が貼られているようだった。
ゆっくり立ち上がり、身体が痛まないように見回すと、そこはどうやら、何処かの一室の様だった。部屋は最低限の家具しか無く、整ってはいるが、何処と無く殺風景な部屋だ。
そんな部屋の中に、一際目立つ存在があった。まるで金細工の様に細く煌めく髪と、ビスクドールもかくやと思わせる白い珠肌の持ち主。
その身体を、黒いジャケットコートに身を包んだ、歌人が見れば“あれこそは妖精”と唄うであろう少女。
カントは彼女を知っていた。知らないわけがなかった。
彼女は“キューティ・マリー”。
広大なアメリカで名高く、人々からは“妖精”の二つ名で語られる少女。
カントが憧れ、その背を追いかけるべくクライムファイターを志した、その彼女が、今彼の目の前に佇んでいたのだ。
一拍。目を見開いたカントに対し、マリーは起きたことに気づき近寄り始める。
二拍。記憶を頼りにこの状況の推察という現実逃避をカントが始める。
三拍。最早目の前が見えていないカントに対し、マリーはゆっくりと両手を広げ――
――四拍。マリーはカントを思いっきり抱き締めた。
現実逃避による水際防衛戦で踏みとどまっていたカントの精神だったが、これにより、ついに混乱の渦中にブチ込まれる。
カントは湯気が吹き出さん程に顔に熱を持ち、手は所在無さげに動きまわり、目は辛うじてマリーの方へと向いてはいたものの、明らかに焦点が合わさっていない。
そんな相手の状況を知ってか知らずか。太陽もかくやと言わんばかりの明るい笑みを浮かべて両腕を緩め、一歩下がる。
拘束が無くなりホッとした様な、もっと甘受していたかった様な複雑な心境を、口から大脱走させないことにどうにかこうにか成功させたカントは、改めて状況の把握に努めることにした。
夢にまで見たキューティ・マリーの顔は、写真で見るよりもあどけなく、幼い印象すら憶える。身長は概ねカントと同じだろうか。カントの身長が若干低い為、彼女は概ね平均的な身長なのだが。
くりくりとしたアーモンド形の明るいブラウンを湛えた瞳は、明らかに好奇の目でカントを見ている。何かおかしな点でもあっただろうか。わたわたと身体の不具合を探るカントに、にっこりと微笑んで口を開いた。
「おはよ」
「……お、おはよう、ございます……?」
彼女の口から出てきたのは、他愛のない朝の挨拶。透き通ったアルトボイスは、瞬く間にカントの耳を、鼓膜を伝い、脳を魅了する。
元々、彼女に思い焦がれてクライムファイターになった男である。生の“妖精”は些か刺激が強く、カントは半ば薬に当てられた様な状態になっていた。所謂、メロメロである。
「怪我、大丈夫?」
優しげな手つきで、彼女の手が包帯に巻かれたカントの腕に触れる。黒革の手袋に覆われた指が触れた痛みにカントは少し顔を顰める。どうやら随分と痛めつけられてしまったらしい。
「あっ、ゴメンゴメン。……まぁ、あんだけボコボコにされちゃしょうがないよねぇ。大きな怪我が無くってよかった」
「え、ええっと……」
「あ、まだ自己紹介してなかったっけ?私、クライムファイターのマリー。キューティ・マリーよ。キミの先輩、になるかな?」
「は、はいっ!知ってます!……そ、尊敬している先輩ですから!」
「そう?……嬉しいな」
尊敬どころか、憧れの人だ。知らない訳が無い。
だが、そんな事を知ってか知らずか、マリーは少々頬を赤らめてはにかんだ。そのカントの知る、凛とした「ヒーロー」からかけ離れた反応のギャップに、彼の胸はより一層高鳴った。
「ねぇ、君の名前は?」
「か、カントです! カント・K・ウエシバって言います!」
「そう、いい名前ね」
「あ、ありがとうございます!」
名前の響きが気に入ったのか、カント、カントと口遊むマリー。一方、名前の持ち主である当人は、自分の名前が、憧れのヒーローに呼ばれていることに、並々ならぬ感動を覚えていた。
「……うーん……でも、新入り君なら、教えてあげなくちゃいけないよね……」
「はい?」
ちょっと逡巡した様に、髪先を弄るマリー。そんな姿にすら見惚れていたその直後、カントが予想してなかった事態が起きる。
「……ちゃんと受け止めてね?」
「えっ」
途端、マリーは腕を振り上げた。
袈裟斬りに振り下ろされたそれを、カントは慌てて両手を上げ、半ばで受け流した。予想外の行動に驚き、混乱しつつも攻撃を捌いてみせたカントは、一歩下がって問いただす。
「な、何するんですかっ!」
「……こんな攻撃も、さっきの貴方は受けられなかったね」
「え……」
思いがけない言葉に、目をぱちくりとさせるカント。
だが、思い返してみれば、ひったくり犯達に敗北を喫する羽目になった一撃は、今のような攻撃ではなかったか。
そう考えてみた段で、カントは彼女の意図に気づいた。
彼女は何故自分が無様な真似をする羽目になったかを、教えてくれようとしているのだ。
「受けられなかった理由、わかる?」
「あ、えーっと……」
「残念、時間切れ」
「あだっ!?」
言葉に迷ったカントの額を、彼女は指で軽く弾く。反射的に額を抑える彼を見て、マリーはくすくすと草木が風にそよぐ様に笑った。
悪戯っぽく微笑んだ後、急に真剣な表情へ戻り、口を開く。
「答えは装備。あんな動きを悪くするカッコで、大立ち回りなんて出来ないでしょ?」
「あ、成程……」
「だから捨てといたわ」
「あぁ、そりゃどうも……って、えっ!?」
あっさりと衝撃的な事を宣うマリー。それを聞いたカントは浮き上がるほどに驚いた。
カントはあれらの装備を手に入れるために、3ヶ月もの月日をかけてそれらにかかる費用を稼いだのだ。それを勝手に捨てられたとあっては、いくらおっとり呑気なカントでも驚きを隠せない。
「だってボロボロだったし、貴方の戦い方では向かなさそうだったんだもの。あぁ、埋め合わせはするから安心して?」
「は、はぁ……」
「取り敢えず、動けるよね? 歩けるようなら、片付けて早速行こっ?」
「え、あ、ちょっと待って! ここは……」
「うん?」
マリーははて、と小首を傾げた後、納得した様に口を開く。
そしてカントにとって、予想通りというか、予想外というかの一言を放った。
「私の住んでる部屋よ。飾りっけないけどね」
***
カント達が住む都市は、犯罪率がとても高いことで有名だ。
その原因は政治家や警察の腐敗、不景気など諸説あるが、中でも一番多く挙げられる理由は、スラム街が存在することだ。
スラム街は生活に貧窮した者や、浮浪者、移民や不法入国者だけでなく、巨悪から小悪党まで、様々な悪人が住み着く。
そして、そういった裏稼業に精を出す者もいれば、それを狩るクライムファイターも集まる。御蔭でスラム街は沈黙を保たれているが、一般人が足を踏み入れていい場所ではない。
だが、“アメリカでも高名なクライムファイター”が住む場所とは、とても言い難い。少なくともカントはそう思った。
貧相な建物で、つい先程までカント達がいた部屋以外の殆どが窓すらひび割れている状態だ。ここに住むくらいなら、実家にいた方が良いと誰だって思うだろう。カントからすれば、マリーと一緒に暮らせるなら何処だって天国だろうが。
「まぁ、拠点として休む分には良いのよ。家賃もかからないから」
そう言った彼女は、にこにこと笑いながら前を行く。既にスラム街からは離れてはいるが、相変わらず二人は路地裏をうろついていた。
何も喋らずに歩くのに気まずさを感じ、カントは取り敢えず聞きたいことを聞いてしまう事にした。
「……な、何で俺を助けてくれたんですか? それに、わざわざ介抱までしてくれて…」
「嫌だった?」
「い、いや、とんでもない! ただ、気になったから…」
「そっか」
素っ気なく、ただほんの少しだけ嬉しそうに返事をするマリー。
自然で素朴な可愛らしさに思わず顔が上気するが、カントはそれを慌てて抑えにかかりながら、返事の続きを待った。
「……んん、なんとなく?まぁ、悪い奴らをやっつけるのが私達のお仕事だしね」
「そ、そうですか……」
「後、介抱したのは、さっきの事を君に伝えたかったから。病院じゃ、怒られちゃうし」
そうマリーは、ちろりと舌を出して悪戯っぽく答えた。その芸術じみた顔に似合わない動作が、逐一カントの心を揺さぶっていたのには、恐らく気付いていない。
「それに、前から楽しみだったの」
「何が、ですか?」
「新入りクンに、色々教えるの。……初めてなんだっ!」
ウキウキと、まるでピクニックへ出かける子供のように振る舞うマリー。だが、今にもスキップでもしそうなその表情とは裏腹に、その足取りはちょっとやそっとではとても崩せない程にしっかりとしているのをカントは見た。
ぶ厚い靴底のブーツにも係らず、全く音がしないのを見るに、相当な修練を積んできたものとカントは考察した。いくら武術の心得があるカントでも、コンクリートの床で厚底のブーツを履いたまま、全く音を立てず動くのは至難の業だろう。
…少なくとも、にこにこと笑うマリーに見惚れているだけではないカントであった。その口角は緩みっぱなしであったが。
そんな事を考えていると、不意に彼女の足が止まる。マリーの見ている方を見やると、そこには一軒の店があった。
それに対して、ぱっと見でカントが抱いた感想は――
「…ドールハウス?」
「あはは。此処を見た人は、皆そう言うねぇ」
そう、まるでドールハウスの様にファンシーな家が一軒建っていたのだ。しかもそれは、灰色のコンクリートで埋め尽くされた中で、唯一鮮やかなピンク色を放っている。
異常な光景だった。勿論カントの記憶にはこんな家は今まで無い。そもそもこの裏路地に入った憶えも無いが、それでもこんな建物があるのは遊園地のアトラクションくらいしか無いだろう。むしろ古臭いそのファンシーさは、昨今の遊園地でも珍しいかもしれない。
そんな怪しさ満点の場所に、マリーは何の躊躇いもなく入っていく。カントも、慌ててその後を追った。
見た目はファンシーショップの様ではあったが、中は意外と小ざっぱりとしていた。人形や可愛らしい洋服の類も置かれていたが、目を引くのは手錠やスタンガン、警棒に通信機器の様な物など、明らかに内装にそぐわない物ばかり。そしてそれらは、正に現場で働くクライムファイター達が装備する品々である事を、カントは知っていた。
「……ここはね、知る人ぞ知る、クライムファイター御用達のお店なの。ちょっと値が張るけど、仕事に役立つ物とかがいっぱいあるんだ。例えば、私のコレとかね」
そう言いながら、胸ポケットからナイフを取り出すマリー。
薄いが、刀身のしっかりとしたそのナイフは、確かに素人目であるカントから見ても上物に見えた。投擲しただけで手の甲に刺さったりしていたのは、流石に彼女の技の賜物もあるだろうが。
ナイフをしまうと、マリーはキョロキョロと辺りを見回す。店員か誰かを探しているようだ。
「今日は定休日じゃないから、どっかに店長さんがいると思うんだけど……」
『えぇ、いますよ』
「…おぉっ!?」
不意に、自分達以外に人影の見当たらない店内から妙に甲高い声が聞こえ、思わず仰け反るカント。
声の主を探してみれば、そこには小人を模したふてぶてしい顔の人形の姿。どうやら、この人形に細工が施されているらしい。恐らくスピーカーが仕込まれているのだろうが、布製のそれには固い感触が無く、カントは首を捻ることとなった。
そんなカントにも気にせず、“店長さん”は話を続ける。
『お久しぶりですねぇ。そちらの方はボーイフレンドか何かで?』
「!?」
「ちっ、違うよ! し、新入り君だから連れてきただけだよ!」
「…………そうです……」
『……おやおや』
冗談交じりの店長の声に、見るからに驚きと喜色をその顔に見せたカント。しかし、即座にマリーから入った否定により、『俺なんかどうせ…』と聞こえてきそうな程落ち込んでみせた。その百面相ぶりを見てか、店長さんはさも面白げに相槌を打った。
『それでは、本日はそちらの……あー……』
「……あ、カントです。カント・K・ウエシバ。昨日からクライムファイターになりました。よろしくお願いします」
『あぁ、これはご丁寧に。私、この正義の道具屋“HERO”の店長です。以降、お見知り置きを』
礼儀正しいカントの態度に対し、恭しく返礼する店長。相変わらず人形の顔はふてぶてしいが、少なくとも悪印象には映らなかったらしい。初対面の印象があまり悪くならないのは、カントの人並みにある長所の一つだ。
『さて、マリーさんからある程度お聞きしているとは思いますが、当店はクライムファイターの皆様がご利用する道具を販売させて頂いております。手錠、通信無線機、各種武器防具は勿論のこと、ファイタースーツから無線傍受用の小型ラジオまで、ありとあらゆるニーズにお応え出来る様取り計らっておりますが、本日は何をお求めでしょう?』
「え、ええと……」
「……取り敢えず、ファイタースーツ見せてくれる?彼、ちょっと戦い方に合わない防具身につけてたから」
『はいはい。では、奥へどうぞ。当店が誇る、カッチョイイスーツ達をご覧くださいませ』
そう言うなり、奥の扉が開く。意気揚々とそこに飛び込むマリーの後を追うと、順々に照明が点灯する。
中は一本道となっており、途中からは下へ降りる階段が見受けられた。照明の道はそこへ続いており、二人は光に誘われる様に階段を降りていく。
そうしていくらか降りた後、やたらと広い空間に出る。強い照明に眩んだカントが、目を慣らすと、そこには――
「……カッチョいい……!」
――そこには、秘密基地もかくや、と言わんばかりにズラリと並んだ、メタリックなボディアーマーの軍勢が出迎えていた。
マネキンに着せられた鎧や、明らかに軍用と思しき物。果ては漫画雑誌に出てきそうなパワード・スーツまで様々で、それはつい先頃にカントが纏っていた物とは比べ物にもならない代物ばかりだった。
ショーウィンドウに飾られたサックスを見る少年の様な面持ちでボディアーマーを見つめるカント。何処から見ているのかはわからないが、店長が満足気に語り始める。
『当店自慢の商品です。西洋甲冑風のボディアーマーや、ジャパニーズ・ファンタジー風の軽鎧もございますよ。あ、勿論オトコノコ御用達のハイテクパワードスーツなんかも……』
「予算は10まで。なるだけ動きやすくて頑丈なのお願い。出来ればカッコイイので」
『……ふむふむ。了解しました。では……』
マリーの口出しに文句を言うこともなく、店長の声は途切れる。
すると、奥から一つのスーツが現れる。上からワイヤーで吊り下げられたそれは、カント達の目の前に降り立った。
『……当店が開発した汎用型パワードスーツです。まだ試作段階で、あまりオプションはありませんが、その分大変頑丈になっております』
「おぉ……! 漫画みたい……!」
目の前にあるそれは、深い夜闇の様に蒼く、中世の騎士が纏う鎧を出来る限り絞った様な、シャープなボディラインを作っている。頭部は狼を象った形をしており、無機質な眼光は“狩る者”として相応しいと言えよう。
試しにカントが触ってみると、重い音が小さく響く。どうやら中々に丈夫らしい。
子供の頃から憧れていた、格好良いヒーローになれるであろうコスチューム。それを目の前にして、カントは震えんばかりに喜んだ。これがマリーから与えられる物だということもその歓喜を増長させているのだが、彼はそれに気付いていない。
「……どう、新入り君?気に入った?」
「き、気に入ったも何も……!こ、こんなの、良いんですか……!?」
「最初に約束したでしょ?まぁ、最初っからいい装備ってのもアレだけど、自分の命守れなきゃ意味ないしね」
そう言うと、ガンガンとナイフの柄でボディアーマーを殴り始める。慌ててカントが止めるが、ボディアーマーには凹みはおろか傷すらついていない。
「ん。耐久性も良さげね。…んじゃ、着せたげてくれる?」
『はぁい。では、着方を説明しますので、指示通りにおねがいしますねぇ?』
「は、はい!」
慣れない手つきで、指示通りに小さなレバーやボタンをいじくり回すカント。簡単な手順でボディアーマーは簡単に開き、同じ様な手順で簡単に装着された。
おずおずと手足を動かしてみると、まるで鎧など無いかの様に自在に動くではないか。面白くなって、パンチやキックを空中に喰らわせるカント。それを満足気にマリーは見つめていたが、不意にカントに近づくと、そのアーマーに身を包んだ姿をしげしげと眺め始めた。
憧れの人に眺められ、どうにもむず痒そうにするカント。思わず背を伸ばし直立状態になり、それに気づいたマリーが吹き出した。それを見てカントの身体はますます縦に伸びていく。見方によっては恐ろしくも見えるアーマーが、今は滑稽さを増長させていた。
「……ふふふっ! 中々似合うじゃない。…そういえば、もうファイターネームは決めたの?」
「…えっ、ファイターネーム?」
「そう。家族とか知り合いに迷惑かけたくない人が使う源氏名みたいなモンかな。私はカッコイイから使ってるけど」
言われてみれば、トップファイターの面々は何れもその正体をある程度隠している事にカントは気づいた。確かに、父や友人達に迷惑をかけない為には、ファイターネームは必須と言っても過言ではない。
だが、考えた所ですぐに思い浮かぶわけでもなく。厳ついボディアーマーのまま、カントは首を捻った。
そんなカントを見かねたのか、マリーも口に指を当てて物思いに耽り始める。そうして幾ばくかの時間が過ぎ、不意に彼女がぽん、と手を叩く。
「……ねぇねぇ、もし決まってないなら、私が君のファイターネームを名付けていいかな?」
「え? ……え、えぇ、勿論! 大歓迎です!」
「…それじゃぁね…」
えへへ、とはにかみながらボディアーマーをなぞる。それが自分の地肌を触られたような気がして、思わずカントは身震いした。
「…“ミッドナイト”! そのカッコ、優しく眠れる様な、夜みたいな蒼の色だもの!」
我が身のように、さも楽しげに笑うマリー。
カントは彼女から貰った“名前”を胸の内で何度も反芻し、小躍りしたいほどに喜んだのだった。
※蒸着→装着。
誤字修正。作者の頭も修正。
※10…10万ドル。
パワードスーツは実際高い。
次回『クライムファイターのお仕事』
待てよ次回。