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愛人

「私といても、なんだかあなたは上の空ね…」


「目の前にこんないい女がいるんだ、そんなわけないだろう」



ホテルのスイートルーム。逢瀬に使う、いつもの部屋で、麻耶まやは艶かしい体をくねらせて、ベットに横たわる成介にすりよる。


バスローブの紐をわざと緩めにしめていて、豊満なバストが今にもあふれだしそうだ。すかさず手のひらを忍び込ませ、その柔らかい胸をもみしだく。



「明日の日曜の予定はキャンセルだ。」


「あら、どうかなさったの?」甘い刺激に、喘ぎながら麻耶は成介を見上げる。


「ちょっと家の用事が入ってね…埋め合わせは、そうだな、来週の土曜日にしよう」




女、ね…。  麻耶は頭の中でつぶやいた。



緋川の会社に入社し、この美貌と豊満な体を武器に、あの手この手を使い、ようやく成介を手にしてから2年がたとうしていた。この男は本物の上物。絶対に逃がす気はない。


地位も財力も、見た目も申し分ない成介は、次から次へと女を乗り換える。麻耶との2年は最長記録だ。


なぜなら、麻耶は彼を束縛しないから。



男は追われると逃げる。そんな事は経験豊富な彼女は、熟知している。






どうせいつもの気まぐれ、尻の軽いどこかの娘とデートでもするのだろう。気にするだけ損。



そう自分に言い聞かせ、更に甘い声で「じゃあ、今夜は楽しみましょう…」と成介を押し倒した。






彼の本命はこのわたしよ。誰にもこの男を渡しはしないわ・・・。

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