メロン
パタンッ
と日記が閉じられる音で我にかえった
「先生・・」
「大宮、か・・・」
「先生・・」
言いたいことは沢山あるのに、
言葉が出てこない
重たい沈黙をわったのは
先生だった
「日記の中の人間を
生き返させる、なんてこと・・・できねえよな」
「・・・・っ」
「この中の凛は、こんなにも元気なのに
俺が見てきた凛と何一つ変わらない・・・
元気で明るい凛なのに・・・
俺は、この裏に隠された苦しみを
感じることができなかった・・・」
「せんっせいっ」
「仕事仕事・・・
まだ、この学校に慣れてなかったから
毎日仕事に追われてて・・・
自分のことばっかでっ
俺、だめだった・・・」
自分を責め続ける
「凛は、お前によく似てた。」
「・・・え?」
「お前を見たとき・・・
凛が帰ってきたって正直思った。
顔も、背格好も、雰囲気も、声も・・・
何一つ、そっくりで・・・」
日記の中からヒラッと落ちてきた写真には
笑顔でうつる先生と、
私にそっくりな凛さん。
違うのは、髪形くらいだった。
「ごめんな・・・
自分でも知らないうちに・・・重ねてた。」
先生の言葉一つ一つが、
胸に突き刺さる。
「私・・・代わりでもいい。
凛さんの代わりでもいいです。
だから、先生の傍にいさせてください。
私じゃなくていい。凛さんを思ってていいから・・・
だから、私の傍にいてくださいっ」
自分でも、めちゃくちゃなことを言っていることは
わかってた
「大宮・・・」
「じゃあ、なんで優しくしたんですか?
どうして、私にかまったんですか?
私の心の勝手にかっさらっていったくせに、
無責任に放棄しないでくださいっ」
「大宮っ」
「なんで・・・なんで私じゃダメなんですか?
まだ凛さんを好きだから?
凛さんへの罪滅ぼしだから?
私が、凛さんに似ているから?
教師と、生徒だから?
どうしたら先生は私を好きにっ」
私の口から出てくる言葉を飲み込むように
先生は私の頭を自分の胸に押し付けた
ほのかに香る、メロンの匂い
私が大好きな、先生の匂い
ああ、私は今
先生に抱きしめられているんだ




