駆け込み寺
「ったくさあ・・・ここはお前の相談所じゃないんだけど。」
「うるさい。」
泣きはらした私を見てギョッとした和兄は
そのあと呆れ半分に笑って、私にオレンジジュースをくれた
「てか、そろそろうるさいのが来そうなんだよな・・・」
「え?」
ガラッ
「呼ばれて飛び出て、相沢ちゃーん!」
「ほら。」
来たのは、体育教師の相沢先生。
「あれっ、大宮ちゃんじゃん!」
「そ。お取り込み中だからねぇ、アンタはどっか行って。」
「うっわー、冷た!
なんだよ、結局イトコに手を出したのかよ。」
「出してねえよ。」
「うわ、やらしいなあ和は!」
「うるせーよお前マジで、追い出すぞ。」
「はいはい。ごめんなさいね~♪」
久しぶりに、こんな和兄見たかも・・・(笑
「で?大宮ちゃんは、どうして泣いてるの?」
「え?」
「目が腫れてる。
折角綺麗な顔なのに・・・」
「私、綺麗なんかじゃありませんよ。」
「そんなことないって!
生徒じゃなかったら俺、手出してたかも。」
生徒じゃなかったら・・・
この言葉がストレートに胸に突き刺さった
先生も・・・成瀬先生も、私が生徒じゃなかったら
そういう対象にみてた?
「相沢さん、あんまり悪ノリしないでくださいよ。
言ったでしょ、俺の大事な妹だって。」
「わかってるって!」
「ったく・・それに、俺は恋愛に教師も生徒もないと思うけど。」
「え?和、もしかして・・・」
「そうじゃねえよ!」
うん、わかってる
今の言葉は、私に言ってくれたんだよね・・・
「大宮ちゃん・・・もしかして、先生で好きな人とかいるの?」
胸が、ドキっとした
唐突に聞かれるなんて思ってなかったし
先生には悪いけど、鈍そうだし・・・
「ほんっとにアナタは!
勘がいいのはいいけど、KYすぎんだよっ」
「い、いいよ、和兄・・・」
「ごめん、だけど・・・気になるから。
それに俺・・・多分相手わかるから・・・」
さっきの、ふざけたような相沢さんとは
打って変わって、真面目な顔つきだった。
多分、相沢さんが思ってる人物。
正解だと思う。
「なる・・ちゃんでしょ?」
「・・・うん。」
「やっぱり・・・」
「どーして相沢さんはわかったんですか?」
「実はさ、三橋から相談受けてて・・・」
「三橋さんから?」
「そう。三橋、俺のクラスの子なのよ。」
「そうだったんですか・・・」
先生から聞いた内容は、
私のことだったらしい。
好きな人がとられる・・・って
相手は、当然先生
「俺もさ、実は見ちゃったんだよねさっき。」
「え?」
「美術準備室でさ。」
ドクンッ
と胸が大きく鳴った
息が、少しだけ苦しくなる
「・・・ねぇ、大宮ちゃんはなるちゃんが好きなんだよね?」
「・・・」
「だったら、絶対にあきらめないで。」
「え?」
「俺、応援してるから・・うん。」
「イキナリどーしたんすか。」
「いや、あんまり深くは言えないけどさ・・・
うん、頑張って。大宮ちゃん。」
相沢先生はうつむいたまま、黙り込んでしまった




