バカ兄貴
「まあまあ、怒りを鎮めて。」
「和兄が副会長の件を撤回してくれたらね。」
「なんで。」
「なんでって・・・私を推薦した大宮先生なら
撤回することくらいできるでしょ。」
「無理だね。」
「なんで。」
「すぐに撤回なんてしたら、俺の信用失っちゃうでしょ。」
「そんなこと、私知らないもん。」
「とりあえず、決定だから。」
和兄は私なんて相手にしない。
「さ、そろそろ授業が始まるでしょ。」
「サボってやる。」
「次、美術じゃないの?」
そうだった。
「それにね、はるの。」
「なに?」
「生徒会の担当って、なっちゃんなんだからね。」
「なっちゃんって誰。」
「貴方のだーいすきな、成瀬先生。」
「え・・・」
「ま、そういうことで今日から生徒会室へGOね。」
和兄・・・私がNOって言えないの知ってて・・・
「わかった。」
私の返事に、満足そうに頷いた。
大宮和斗・・・
私のイトコでこの高校の養護教諭。
整った顔立ちの爽やかスマイル。
だけど、裏はとんでもない悪魔。
ったく、なに考えてんのかまったくわかんない。
私の頭が悪いこと、和兄がよくわかってるじゃん。
なんで生徒会なんか入れるかなぁ・・・
私は和兄と違って、頭よくないんだからね。
生徒会といえば、トップクラスにはいる人ばっかりじゃん。
おまけに、顔もよくて・・・
なんで私が入れられたんだろ。
「あ、はるのー!」
「ごめん、優実。」
「ううん。大丈夫!」
「美術どーぐ・・・どーぐ・・・っと。」
美術道具を用意して、優実の隣に並んだ。
「1時間目から成瀬先生だなんて、ハッピー♪
次は数学でしょ、咲楽先生に会えちゃうし!
最後の時間は、体育だよ?相沢先生!
はぁーっ私、この高校で良かったぁ。」
目を輝かせて、優実はため息をついた。
「ね、はるのもそう思うでしょ?」
「・・・うん。」
ばか兄貴がいなきゃ、もっと。だけどね。
あえて、そのことは、言わなかった。
「でも、羨ましいな。」
「え?」
「だってさ、あんなカッコイイ大宮先生とイトコじゃない。」
「まあ・・・ね。」
「かなりの人気なんだからね。
保健室だって、女の子たくさん来てるんだから。」
「へえ・・・」
「昼休みは特に、中にもはいれないくらいだよ。」
さほど、興味がない。
あのバカ兄貴に興味あるなんて・・・
見た目にやられたな。
「でも、さすが大宮先生のいとこだよね。」
「え?」
「はるの、モッテモテだもん。」
「・・・へ?」
「へ?って・・・自覚しなさいよ。
今だって、何人の男子がアンタを見てると・・・」
「見てるのは、優実じゃないの。」
ショートヘアーの茶色のかみはサラサラで
大きな猫目。
明るくて気さくな性格は、誰からも親しみやすい。
「あんねぇ・・・もういいや。
天然はるのちゃんは、ほっとこ。」
「ち、ちょっとぉ!」
天然って・・・私のこと?
どんな風になっていくのか・・・
私自身もドッキドキです。




