重い足取り
「んで?そろそろ教えてくんないかな。
なんでそんなに泣いてんのか。」
「・・・言いたくない。」
「さっきからそればっかじゃん。」
和兄は呆れたようにため息をついた。
栗色の巻き毛、長いまつげ
細く白い手足
西洋人形のような女生徒・・・
靴のライン色からして、同学年。
あんな可愛い人も成瀬先生の"お手つき"
なんだろうか。
そう思うと、胸のあたりがきつく締め付けられた
「・・・っ」
「ったく、まだ泣くのか。あきねぇな・・・」
「うるさいなっ黙っててよ。」
「お~、恐っ」
和兄にあたってしまうあたり、
私は相当参ってるらしい。
「・・・なっちゃんか?」
「・・・」
「図星、か。」
和兄は、深く息を吐くと
私の目の前に座ってきた。
「なっちゃんとは関わるなって言ったろ?」
「・・・」
「絶対、お前が傷つくと思ったから・・・」
「・・・」
「今みたいに、お前が泣くと思ったから・・・」
「・・・」
「はるの。」
「・・・なに?」
「今からでも遅くない、なっちゃんのことは忘れろ。」
わかってる。
わかってるよ・・・
私だって、それができたらどんなに楽か
それができたら、私はどんなに幸せか
だけど、そんな思いとは正反対の方向に気持ちは進んでくの
嫌だ、先生を好きでいたい。
その気持ちが、私にとっては辛くて
やめよう、先生を好きになるのはという思いも辛くて
「・・・和兄」
正反対に引っ張られて、
今にも胸がはちきれそうだ
「忘れたいよ・・・
だけど、私の気持ちがそれを拒んでる。」
できることなら、忘れたい
「私の思いとは正反対の方向に気持ちが進んでくの。」
だけど、忘れたくない
「和兄・・私、辛いよ?
先生を思うこと、すごく辛い。
だけど、忘れようと思うことも・・・辛いの。」




