境界線
「あーあ・・・ほんと、評価がいいのは美術だけなんです。」
「そなの?」
「そうですよ!
私、運動音痴だし勉強だってできないし・・・
中学でも5だったのは音楽と美術だけなんです。」
「へぇ・・・」
「先生は、勉強とかできました?」
「いんや、俺は基本勉強するのが嫌いだったから。」
ふわんと笑う。
ドキッとした胸に手を当てた
「だけど、実技は5だったけど。」
「え!?」
「えって・・・
さては、美術しかできないと思ってたろ。」
「はい、正直・・・」
でも、そういえば
聞いたことがあるかもしれない。
成瀬先生は運動神経が抜群で、歌がすごく上手いって・・
「あーあ、はっきり言われたなぁ・・・」
寂しそうな声を出しつつ笑ってる
「先生・・・」
「んー?」
「今度、先生の歌をきかせてください。」
「歌?」
「はい。カラオケとかでもいいんで。」
「なんで?」
「みんなが先生歌上手いって言ってたから。」
「へー・・俺ってうまいんだ。」
「自覚ないんですか。
ってか、生徒に歌聞かせたことあるんですか?」
「んー?あるわけねぇじゃん。」
嘘ばっか・・・
聞いたことがあるから言ってるんじゃない・・・
きっと、聞いたことある人はみんな
先生の"お手つき"だ
「なるちゃん・・・」
なるちゃん?
先生のことを、なるちゃんという人は今までにいなかった
振り向く先には
栗色の巻き毛、長いまつげ
細く白い手足
西洋人形のような女生徒だった
「三橋・・・」
「なるちゃん・・・私、私っ・・・・」
涙をいっぱいに溜めたかと思えば
先生にいきなり抱きついた
「好き、だよ・・・なるちゃんっ・・・」
目の前が真っ暗になった




