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第二話

目が覚めるとそこは雪国だった。


「……え?」


『おす、おはよう。何々、よく寝ちゃったねー』


「いや、よく寝たっていうか、これ、雪降ってますけど?」


『だからよく寝たっていったじゃん。四ヶ月ほど眠ってましたよ。季節はすっかり移ろいでしまった』


「うぇ、何それ!? 青々と茂ってた木々は!? 木の実は!? てか食料は!?」


『自然に溶けたんじゃ、これも摂理よ』


「何なのこれえええええええ!!!」



■第二話「奇跡も魔法も、ポイント制」■


「説明頼む!」


『その前に像の雪をどけてくれないかい? ちょっと雪が何日か前に降り始めてから積もったままでさー』


「あ、あぁ、わかったわ」


ゴシゴシと像をさすると、そこからピカピカの状態の像が出てきた。新品さながらの美しさ。


「お、お? 何で像がこんなに綺麗なんだ?」


『あー、奇跡使ってるからねー』


「え、奇跡って有限なんじゃ……」


『寝てる間に汚れたくなかったので勝手に使った、今は反省もしている。後悔はしていないが』


「てめー! どういうこったぁ!」


『まぁ、待ちたまえ。最初のキャラは何処にいった、口が汚すぎるぞ? ん? この威厳溢れる私のように初期キャラは維持したまえ』


「お前の何処が維持出来てるんだ! どう見ても維持できてないだろう! それよりも一挙に意味不明なことが起きすぎて脳みそがパンク寸前なんだよ! どうなってんだこれ!」


『君に起きた現象を簡単に説明するとだね、まぁ、動物で言う冬眠みたいなものが訪れただけだから、安心したまえ。その間、基本的に神代は動けないという制約があるんだな、これが』


「……そんなシステムがあるのか」


『神が沈黙する時は大抵そういう時だ。いくら凄い神でも、その間を狙われたらどうしようもないわけだ。まぁ、今回はまだ信仰者もいないし文明らしい何かも全然ないし、何気にすることはない』


「…………ん? ちょっと待て、じゃあ何で俺に眠るように仕向けたんだ? その間、眠り続けるって知っていたならいろいろ準備してからの方が都合が良くないか?」


『それを説明するには行動をしてもらった方が良い。ちょっともう一度眠ろうとしてみろ』


その言葉を受けてしぶしぶ横になる。冷たい雪とやばいくらいの低体温が俺を襲う。それによって俺は眠く―――ならない?


「あれ、全然眠くならない」


『神代は休眠期ではない限りは無理に寝なくて良いのさ。だから眠くならないし、24時間働けるし、過労死とかもない。素敵だろう?』


「その代償が四ヶ月の時点で少し割に合わないだろうよ……」


手で顔を覆って嘆いた。これから食料をどうにかして探さないといけないのに、周りに食料が無さそうです。本当にありがとうございました。


「ん? ちょっと待ってくれ。それじゃあ、俺がその辺で寝ても体力回復出来る能力ってどれほどの意味があるんだ?」


『さっきいったろ? 無理に寝なくて良いって。言葉通りの意味で無理に寝れば眠れるの、休眠期でなくても。今はその無理をしてないから眠れないんだと思う』


「無理って、どうすれば無理になるんだ?」


『奇跡使えば良いんじゃない?』


「有限なんだろ!? 寝るのに奇跡必要って意味わからないわ! 奇跡って何なんだよ!」


『おぉ、そういえば奇跡について説明してなかったね。まぁ、簡単にいうと奇跡はある特定のポイントを溜めると行使できるようになる能力の総称みたいなもんなんだよね。法則を無視して行えるし、何よりわかりやすいので奇跡ってなってる。別に魔法でも良いんじゃよ?』


「ある特定のポイントって何だ?」


『色々と種類があるからねー。一気に説明してもわかりにくし、何よりどうせ使えるのが一つなんだからそれだけ教えておくよ。今使っているポイントは「神格ポイント」だね。簡単にいうと、神様っぽいことをしていると勝手にポイントが溜まるよ。人を導いたり、人の前で奇跡を起こしたり、もしくは神話に名前が出てくるようになって存在が知られると勝手に増える』


「……俺、何か神様っぽいことしたかな?」


『神様っぽいかは知らないけど森の中で眠り続ける存在がいて、獣が襲わない上に汚れないとそれっぽいとは思うよ? 結構曖昧だからね、判定が』


「あぁ、そういう……眠ったのも別に無駄ではなかったということかな?」


『そうだね。無駄ではなかったかもね。ただ、微々たる量しか増えてないけど』


「良いよ、別に。それで、そのポイントは今、幾つあるんだ?」


『え? 0だけど?』


「はい? 今増えたって言ったじゃないか。その分のポイントは?」


『いや、最初に奇跡使ったって言ったじゃない。ごめんねー、ボクがー、君のポイント勝手に使っちゃってー』


「もうマジやべぇ、キレる通りこして泣きそうなんだけど……」


『別に良いじゃない。また、一緒に二人で貯金して行きましょうよ』


「お前が勝手に使ったんじゃねーか! 何が二人で、だ! 俺しか溜めてねぇからな!」


『シャチョウサーン、キュウリョウ、クレナイトー。ダメダヨー』


「働いてない奴に給料もくそもあるか! 俺の食料とかどうするんだよ!」


『心配するな。実は君が寝ている間に、君に対しても奇跡を適用しておいた。それを活用するが良い』


「え? そうなのか? なんだ、それを早く言えよな。そうだよな、利己的なのばっかりに使うわけないもんな。それで、どんな能力なんだ?」


『無理すれば眠り続けられる能力』


「……………」


『レッツ・冬眠☆』


「おい、どーするんだよ。この作品、俺寝て覚めてを繰り返してるだけなんだけど。何も神代っぽいことしてないんだけど!」


『仕方ないじゃないか。とりあえず寝とけばええねん! 大体冬まで眠る君が悪いんだぞ。夏過ぎて秋頃に起きれば行動も出来たのに!』


「眠らせた奴がいう台詞じゃねえだろ! くそ、もういい! 不貞寝すりゃあいいんだろうがよ! 春まで寝てやるぜ、無理してな! オラアアアアアアアアアアアアアア!」


『気合入れて眠るなんて、凄い能力だ。この力、やはり天才……』


「や、やっぱり……納得いかねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!! zzz」




■現在持っている能力■


その辺で寝ても体力回復出来る能力

無理すれば眠り続けられる能力


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