二十五話
縁庵への帰り道、どうしても気になってきた大志はコンに尋ねた。
「あの、コン様。確か、コン様ってオーナーと一緒にこっちに来たんですよね?」
「それは知っておるのだな。左様じゃが?」
「オーナーって、なにか修行してたんですか? ほら、陰陽師とか、神職的な」
「ふむ。まああっちの連中とは異なるが、同じような者じゃな」
そのような知識と経験を持って、織部は霊的なものと戦える力を手にしたのだろう。
隣にはコンもいた。共に戦うこともあっただろう。
なるほど、と大志は納得した。
縁庵に着くと店番をしていた織部に愛助の話をした。
織部は二つ返事でOKを出した。
「ほ、本当に大丈夫なのか? オーナー」
「大丈夫だって。俺、強いから」
またしても、謎の自信をもって彼は言う。
それでも大志は嫌悪することなく、受け入れた。
「……俺も、当日いくよ。愛助さんに啖呵切っちまったし、オーナーたちのこと、心配だし」
その言葉に、コンは織部の隣に近づき身を寄せた。
「聞いたかみどり? 頼もしい事じゃのう」
「そうだな。ありがとう」
「……ちょっと馬鹿にしてる?」
ニヤニヤと笑う彼らに、大志は眉を顰めた。
※
その日の夜。
織部は大志の部屋を訪ねてきた。
「ちょっとさ、言いたいことがあってさ」
そう言って織部は大志の前に座って、彼と目を合わす。
いつもより優しく穏やかな目をしていた。
「ありがとうな」
「……えっと、なにが?」
突然言われても、大志は戸惑うばかりだ。
そんな彼に織部は改まって頭を下げる。
「初めてなんだ」
「え?」
「……俺が戦っている時に、ついていくって言われたの」
織部の言葉に驚きながらも大志は答えた。
「それって、オーナーが強いからじゃねえの? だから任せてたんじゃないの?」
「そうかも知れない。でもさ」
そういうと織部は顔をあげる。
今にも泣きそうな顔をしていた。
意外だった。
あれほど人と繋がりたがり、親切を施す彼が、人に寄り添うと言われただけでこんな顔をするなんて。
「側にいるって言ってくれて、ありがとう」
そうして再び、織部は頭を下げた。




