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二十話

日曜日当日。

大志は愛助の為に用意した料理を見守り、彼の到着を待った。


「わくわくすんな、愛助さんと菜々穂ちゃんの再会」

「そーだな。愛助さん、タジタジになりそうだけど」

「案外面と向かったら照れて何も言えなくなっちゃうかも知れないし、オーナーとして背中押さないとな」

「……オーナーって恋愛経験あんの?」

「少女漫画は結構読んだよ?」


織部の言葉に大志は肩をすくめた。

そんな時、カラカラと店の戸が開く。


「いらっしゃ――」


その人物を見た瞬間、大志は固まった。

笑顔で手を振る菜々穂。

彼女の後ろにいたのは、赤星その人であった。


「菜々穂ちゃん。その、ひと」

「あ! タイちゃんも知ってる人でしょ? ここに来た時にね、ナナの王子様に会いたいって言ってたから案内したの。『愛助さんにはお世話になった』だって」


無邪気にそういう彼女に喉が渇いていく。

赤星はあの日のように口角を歪めて大志に笑っている。


「……大志?」


隣にいるはずの織部の声がとても遠く感じる。

大志は小さく呟いた。


「アイツだ、俺があった、昔の仲間」

「え……? じゃあ――」


赤星の正体に織部が気づいた時だ。

赤星は荒々しく戸を閉める。

そして後ろから菜々穂の首に腕を回すと、彼女の顔の横にナイフを突きつける。


「赤星テメェ!」

「柿花ぁ……お前、いい店で働いてんだなぁ……でえ? ここに今日来るんだろ、愛助のクソ野郎が。みんなお前みたいにうまくいった奴ばっかじゃねえんだよ……アイツのせいでどんだけの連中が苦労したか……」


こちらに同情させるような猫撫で声で語り掛けてくるが、その加害性を隠そうともしていない。

ニタニタと笑いながら今にも少女を締め上げ、切り裂こうとしているのだから。

どうすれば赤星を退けられるかを考えあぐねいている大志の胸を、織部が制した。


「……オーナー」

「赤星、さんですね? 愛助さんのこと嫌う気持ちはわかります、でも」


なんとか赤星を落ち着かせようとするが、突如伸びてきた足に腹部を蹴られる。

1mほど吹き飛んだ織部は呻くこともなく土間の上で悶えた。


「オーナー!」

「部外者がしゃしゃんじゃねえよ……寝とけや雑魚が」


大志は苦悶する織部に駆け寄る。

そして未だに歪んだ笑みを浮かべる赤星を睨み続けた。



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