幕間
「抹茶に、レモンを?」
織部の案に大志は首を傾げた。
当の織部はいつもと同じ笑顔を浮かべている。
「まあ合わないと思うよな。でもこの前研究がてら行った喫茶店で飲んでみたらさ、なかなか美味しい味だったんだよ」
「はあ……まあ、紅茶も緑茶も、元は同じだからな」
「だからうちでも出してみようと思ってさ。取り敢えず今、ホットとアイス作ってるんだ」
カウンターの中でカチャカチャと作業していた。
程なくして、湯呑とグラスが大志の前に出された。
どちらも深緑色の抹茶に見えるが、どことなく爽やかな香りがした。
「さ、飲んでみて」
「ああ……いただきます」
大志は恐る恐る、湯呑に手を伸ばす。
それから口をつけて一口飲みこんだ。
緑茶の味と共にレモンの苦みを伴った清涼感が訪れる。
組み合わせには戸惑ったものの、その味は思ったよりも悪くなかった。
むしろ爽やかであり、ほのかに感じる茶の甘みが引き立っているように感じた。
「んっ……悪くないな、コレ」
「そうか? よかった」
そしてアイスの方も試そうとグラスに手を伸ばす。
冷たいからか、ホットのものよりも香りは強くないが、舌触りがすっきりとしていた。
「どっちもいいな。なんて言うか、爽やかでよ。これ、好きな人はかなり好きだと思う」
「だな。初めての人にも受け入れてもらえるように、店の前に看板でおすすめしとこうかな」
「それもいいな。あ、レモン感を強めるために、飾りでレモンの切り身を縁に置くってのも良くないか? すりおろしたレモンの皮を表面に散らしてもお洒落だし」
「あ~! いいな。よし。今からやってみる」
こうして、休日の縁庵では店員二人が新メニューの開発に勤しんでいた。




