私たちはどうやら百合らしい
もし、ラジオで友達が恋愛相談していたら、あなたはどうしますか?
じゃあ、あなたにこの後、告白の電話をしてくると知ったら?
『実は、同性の女の子で、恋愛として好きな人がいて』
『恋愛に性別は関係ないよ。
それで?』
たまたま聴いていたラジオ。
よく知っている人の声が流れてくる。
「まさか」
そう呟くが、まだ早い。もしたしかたら他人かもしれない。
受験勉強の手を止め、ラジオに集中してみる。
『その子は、真面目なんですよね。いつも本を読んでいて』
『読書離れじゃないんだ、いいね』
『1番好きな本が饗宴で、わたしにはよくわからないのですが』
『哲学の話だね、愛、エロースについて』
『そうなんですかー?』
本棚に、顔を向ける。
「いや、まさかな」
『好きになったきっかけは?』
『小学生最後の持久走大会で』
『マラソンみたいなものだよね。それで?』
『わたしを待ってくれていたんですよ、ビリだったのに、わたし。その子は速かったのに、待ってくれていたんだなって。そしたら、こう言ってくれたんです。
一緒にゴールしようって』
「私だわ、その人」
知っている声、ふわふわな話し方、持久走大会の思い出。そして、本棚にある、プラトンの饗宴。
『今日、告白しようって思っているんです。向こうは、ただの友達と思っているかもしれませんけど。勇気をくれると嬉しいなって』
告白…!
「まさか、恋愛対象として見られていたとは」
私は、ただの友達って思っていたのに。
違う人かもしれない、たまたま知っている人によく似た人が、たまたま私に似ている誰かに告白したいって思っているのかもしれない。
けど、そうじゃない可能性もある。あの人が、私に告白したいという。
好きか、嫌いか。好きだ、けど、恋愛としては。
応えるべきだろうか。恋愛に性別は関係ないのだから。
小学生最後の持久走大会。毎年ビリなのが可哀想で一緒にゴールした。
それが、関係がはじまったきっかけ。
あの人の恋愛がはじまったきっかけ。
私たちはどうやら百合らしい。
そして、スマホが鳴る。
息を吐き、誰から掛かってきたから、見る。
鼓動が、はやくなる。
「もしもし」
『もしもし。高校受験の勉強してた?』
「う、うん、してた」
何も知らないふりをする。
こちらから掛けようかとも思ったけど、やめた。告白ってことで、迷ったけど。
『わたしね、ずっとあなたのことが好きだったんだ、恋愛としてだよ?』
さて、どう返そうか。
まあ、答えは決めているんだけど。
返事は、どうだったのでしょうか。
読んで頂き、ありがとうございました。
2人の未来に幸せを。




