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つば九郎追悼ストーリーです。
苦手な方はスキップしてください。
目の前に……
「お帰り下さい。」
俺は、目の前のペンギン?に店の戸口を指して言った。
「なんで?
意思疎通が出来れば連れてきていいって言ったよ!?」
ペンギン?の隣でワンコロが吠える。
誰も意思疎通が出来れば連れてきていいだなんて言ってない。
「そもそも、意思疎通ができるのか?」
俺は、このとにかくでかいペンギン?に問いかける。
そう、この青いキャップを被ったペンギンはとにかくでかい。
俺より若干小さいくらいの大きさだ。
成人男性程度の大きさがある。
そして、でかいのは高さだけではない。横にも大きいのだ。
……どこかで見たことがある。これは、旧時代のカリスママスコットつば〇朗ではないか?
大きなペンギン?はスケッチブックを取り出してマジックインキを走らせる。
『るーびーがあればできる』
どこかで聞いた業界用語。
よーく見ろ。
そんなわけない。
愛され畜ペンの彼は100年以上前にお空に飛んで行ったのだから。
おなかの辺りにSwallow’sと書いてある。
俺は訪ねた。
「おなかの文字はなんだ?」
ペンギンがスケッチブックに書いて答える。
「いれずみ」
違うそうじゃない。
いや、俺の知っている畜ぺんならそうなのかもしれない。
ところで、どうしてここに来たのかと俺は尋ねた。
ワンコロとロッテが答える。
「この精霊さんは森でね、出会ったの。
すごく寂しそうにしていたの。
新しい時代になってみんなの気持ちが形になったのにみんながいなくて寂しいって。」
「元気がない時は美味しいものを食べると元気が出ますよってお弁当を半分こしたんです。
でも、それでも元気が出ないみたいで。
それで食べたいものを聞いたら、るーびー?が飲みたいって言われて。
るーびーが分からなかったのでカイさんだったら知ってるかと思って。」
みんなの会いたい気持ちが合わさって形成されたらしい。
旧時代のマスコットだが100年以上経った今でも野球界ではレジェンドとして映像が流れている。
それを見た人々の途切れない思いが大きくなって精霊になったのかもしれない。
これは、学会が騒然となるかもしれない。
学会があればだけれど。
「るーびーというのはビールのことだ。
わかった。
一杯だけだぞ。」
俺はわざと仕方ない風を装って伝える。
俺は野球少年だったからな。レジェンドには優しいのだ。
ただ、レジェンドに会えたウキウキを誰にも悟られたくない。
だって大人だから。
畜ぺんがフリップ芸を見せる。
『るーびーは2はいがおやくそく』
さすがレジェンド。
ずうずうしい。いや、大胆と言い直そう。
俺はロボ丸に指示を出した。
「悪いが、家には生ビールはない。
とりあえず、缶ビールを2本出してあげてくれ。
最近料理の腕も上がったし、つまみを作ってあげてくれ。
苦手なものはあるか?」
と、畜ぺんに尋ねる。
『じゃいあんつ』
そうだよ。これだよ。
やはりカリスマ。先生だけあってわかる人にはわかるブラックを突っ込んでくる。
やはり先生は一味違う。
つば九郎が大好きで、私の中のつば九郎像を書き上げました。
みなさんの中のつば九郎像とは違うかもしれません。
みなさんの中のつば九郎を大事にしてください。
ご冥福をお祈り申し上げます。