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12時の鐘が鳴った。
俺たちは、昼飯を食べに家に戻った。
そこには、肉巻きとサンドイッチ、ラタトゥイユとスープがあった。
食事の前の祈りをして俺たちは食べる。
モルボルはどうしたんだろう?
俺はロボ丸に尋ねた。
「ヨクゾ聴イテクダサイマシタ。
カイ様が今、オ召シ上ガリにナッテイルノガ、“モルボルノ肉巻キ”デス!
モルボルハウリ科カボチャ属ノ特性ガアリマシタノデ、ズッキーニヤキュウリノヨウニ料理シテミタ所、大当タリデシタ。
良イ豚バラ肉ガ手ニ入ッタノデ、モルボルヲ食ベヤスイ大キサニ切リ、豚バラ肉ヲ薄クスライスシタモノヲ巻イテコンガリ焼イテミマシタ。
表皮ヲワザト残スコトニヨリ食感良ク仕上ゲテアリマス。
ロッテ様ノ召シ上ガッテイルサンドイッチハ、旧時代ノ女王ノロイヤルレシピデゴザイマス。
コチラハ逆ニモルボルノ食感ヲ残サナイヨウ表皮ヲ取リ除キマシタ。
アクセントニ裏庭デ採レタフレッシュミントヲ刻ンデ入レルコトニヨリ爽ヤカナ仕上ガリニナッテイマス。
オリジナルレシピト異ナル点ハ、モルボルヲ薄クスライスシタ後ニ塩ヲ振ルノデスガ、軽ク砂糖モ一緒ニ振ッテミマシタ。
難シカッタノハ、パンガ柔ラカ過ギタノデバターヲ塗ルノニ一苦労シタ点デスネ。
モチロン、モルボルノ水分ハシッカリ取ッテアルノデスガ、ロイヤルレシピデスノデバターハタップリ塗ッテアリマス。
ワンコロ様ノ手ヲ付ケテイナイラタトゥイユハ短時間デ作成シタモノデスガ、旨味タップリニ仕上ゲタノデ是非召シ上ガッテクダサイ。
フランスノ貧シイ田舎料理ナノデ、オ肉ガ入ラナイノガ正統レシピデス。オ肉ヲ食ベタイオ年頃カモシレマセンガ、一口召シ上ガッテドウシテモトイウコトデシタラ、オ肉ヲ入レルコトモヤブサカデハアリマセン。」
とロボ丸はワンコロにラタトゥイユを食べる事を進める。
レシピをAIが検索しているようだが、美味しくアレンジまでできるようになるとは、ロボ丸は進歩が激しいな。
それよりもいつの間にかモルボルを食べてしまった。
精霊を食べるなんて倫理的に問題がある。
旧時代は、植物界・動物界・菌界・原生動物界・原核動物界と五つの界で分かれているとされていた。
所が、融合してからの新時代は、さらに精霊界・魔物界が加わった。
恐らく、ワンコロの存在が明るみに出ると幻獣界が加わることになるだろう。
世界が融合してからまだ100年とちょっとだ。新時代はまだわからないことが多い。
精霊を食べるということの倫理感も不味いが、そもそも人類は精霊を食べて不調は出ないのかが問題だ。
これは、ロボ丸にちゃんと言っておかなければならない。
「ロボ丸の料理技術は素晴らしいが、モルボルは精霊だ。
人類は精霊や魔物を食べても問題ないというエビデンスは聞いたことがない。
今日はひとまず様子を見るが、みんなは何かおかしなことがあれば報告してくれ。」
「大丈夫だよ!」
ラタトゥイユを食べるのを躊躇しながらワンコロは言う。
「ロッテがよく精霊も魔物も食べていたけれど、おなか壊してないし元気だよ!」
頬を染めながらロッテも続ける。
「里では変わった生き物がよく捕れたのでおなかが空いた時は焼いて食べてました。
一応、ワンコロに食べられるか確認してもらっていたので大丈夫かなぁって思って。」
「そのまま預かって返さないんじゃないの?」
なんて疑問を持っているが、大丈夫。
返さないなんて言ってない。
永遠に預かっているだけだ。