19-2
我はケサラン、偉大なるワンコロ様の僕。
今、死者の国に立つ。
久しぶりに来たが空気が澱んで重くじめじめ纏わりつく。
穢れを受ける前にさっさとユグドラシルを見つけて戻らねば。
一先ず、人間界にまで届きそうに天高くそびえる大きな樹に目掛けて進むことにした。
全くたどり着けぬ。
死霊どもがうじゃうじゃと湧いてくる。
やつらに見つからぬようにこっそりと進むから、なおのこと遅くなる。
家主が言っておったチートとやらを使いたいがどうすればよいのかもわからぬ。
そうこうしているうちにどんどん瘴気で体が黒ずんでくる。
最初はこまめに汚れや穢れを払っていたが、もう追いつかぬ。
汚れ穢れたまま我はユグドラシルの元へ進むのであった。
汚れ穢れた我になど死霊どもはもう気にするわけがないだろうと、我はまっすぐに道なき道を進む。
体がワンコロ様には御見せできぬほど真黒く穢れた頃だった、
我は死霊の群れと出くわしてしまった。
我の抗精神魔法がこやつらにどこまで抵抗できるかわからん。
とりあえず、防御魔法と抗精神魔法を自らにかけて様子をみた。
顎が腐って溶けているのにあやつらはコミュニケーションが取れるようだ、羨ましい。
我のワンコロ様への忠誠心だけでは足りぬのなら何を持ってすればよいのやらと思案していると、死霊の群れがこちらに向き直りまっすぐと我に向かってきた。
そ?ま?
死霊の群れが我を囲んで輪になる。
ゆっくりと一匹の死霊が我に近づいてきてそっとその手に我を包んだ。
そして高らかに我を持ち上げると周りの死霊どもから大きな波動が音になって伝わってきた。
よく観察すると波動は声のようなものになっている。
…たたえよ…たたえよ…我らが神…たたえよ…たたえよ…
我は死霊たちに担ぎ上げられたまま、わっしょいわっしょいと運ばれていく。
不本意だが仕方がない。
攻撃もされないようだ、そのまま運ばれてやる。
ユグドラシルの方向へ向かっているようだし流れに身を任せるのも一興、このまましばらく運ばれてやろう。
我はそのまま死霊どもに運ばれてやった。




