2-1
目の前には何もいない。
青い空。
白い雲。
今日も平和だ。
俺は、家の裏の小さな畑で作業をする。
この畑は、街の外れで人気のないエリアだからこその物件だ。
荒れ地のせいで人気がなくなったため隣人が家を手放す時に無理やり押し付けてきた。
とにかく手放したかったらしく売った土地の使用方法はお任せするという事だったので、思い切って更地にし畑にしてやった。
おかげで薬草の採取に行かなくてもある程度は薬を作成できる。
冒険者は、大体が朝一でギルドに向かい依頼を受けて町の外にでる。
その時に薬を買っていくことになるので店を開けるのは朝の8時くらいから11時くらいまでだ。
その後は、昼飯を作りながらその日の予定を立てる。
だが、最近はロボ丸が店番をして昼飯も作ってくれる。
めちゃくちゃハイスペックロボだ。
おかげで今日も朝から畑作業に専念できる。
「土魔法で畑を耕しました!
次は何をすればいいですか?」
元気な声でロッテが俺に尋ねる。
土はいい感じにふかふかになったようだ。
俺はロッテとワンコロに指示をだす。
「次は、畝をつくってくれ。
畝の高さは30cm程だ。
自分達の好きな野菜を植えるから、一人一つずつ畝を作ってくれ。
ところで、野菜は何を買ってきたんだ?」
ロッテはニコニコしながら俺に見せる。
「トマトとイチゴとスイカです!」
「僕はね、よくわかんない奴!」
そういってワンコロが見せてくれた野菜?はうねうね動いている……。
「どこで買ったか知らんが、これは食べられるって言われたのか?」
自信満々でワンコロが答える。
「お店で買ってないの!ロボ丸のために魔力の高いお野菜をサーチしたら森で見つけたの!」
それを聴いて感激したロッテは、
「すごい!優しいのね!
ロボ丸もすごく喜ぶと思う!」
とワンコロの頭を撫でまわす。
俺はこっそり謎の生物に鑑定魔法をかける。
モルボル
界:精霊
属性:水・草
今は無毒のようだが成長するにつれて毒を蓄積すると聞いたことがある。
精霊とはいえ動くのは危険だ。
俺はワンコロにやさしく諭す。
「これは植えても動くから他の植物に害をなす。
植えるのは止めてロボ丸に食べてもらおう。」
俺はしっぽの垂れるワンコロに、
「ロボ丸なら美味しく料理してくれるはずだ。
あいつは最近めきめき料理の腕をあげているからな。」
と言って頭を撫でる。
「今度は動いても大丈夫な畑を考えよう。
もしくはモルボルを動かないようにするか。
頭の良いワンコロなら良いアイデアが浮かぶだろう。
俺も考えてみるよ。」
まあ、何とかなるなら俺も精霊は育ててみたい。
モルボルを受けとった俺は、ロボ丸のいる家の中に入る。
俺の知識不足のせいでこのモルボルがいつ毒性を持つかわからない。
ロボ丸には早急に調理してもらわなければ。
モルボルをロボ丸に渡した俺は、畑に戻ると作業を続けた。