表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/95

1-4

ロッテは目覚(めざ)めると、(おれ)に深く頭を下げて言った。

「お願いします。

(わたし)弟子(でし)にしてください。

偉大(いだい)偉大(いだい)なマスター・ブルーレッド様のお弟子様(でしさま)ならとっても偉大(いだい)だと思います。

(わたし)()ている(あいだ)ロボ丸を改良(かいりょう)してくださったんですもの!

どうかどうか何卒(なにとぞ)よろしくお願い申し上げます。」


いや、師匠(ししょう)偉大(いだい)というより厄介(やっかい)だと思うぞ。

それよりも(おれ)弟子(でし)を取る気がない。

(もう)(わけ)ないが、(おれ)弟子(でし)を取ろうと思っていないんだ。」


ロッテの目に(なみだ)()かぶ。

(おれ)はこういうのに(よわ)いという自信(じしん)がある。

「それこそ、師匠(ししょう)(もど)ってきたら弟子(でし)()りを志願(しがん)すればいい。

いつ(もど)ってくるかはわからんが、それまでだったら()きなだけここにいればいい。

(もど)ってくるなら多分(たぶん)ここになるだろうからな。」


いつ(もど)ってくるかもわからんし、そもそも(もど)ってくるかもわからん。

生きているかどうかすらわからない。

気が()むまでここにいればいい。

(さき)の見えぬ不安(ふあん)からいつか(あきら)めるだろう。

(おれ)もいつかは()てなくなる日が来るのかもしれない。


「まあ、師匠(ししょう)(じょう)に弱い所があるから多分(たぶん)弟子(でし)にしてくれるだろう。

(おれ)のことは兄弟子(あにでし)とでも思ってくれ。」

それが(おれ)妥協(だきょう)できるラインだ。

師匠(ししょう)にまだ(おそ)わり()りない未熟者(みじゅくもの)(おれ)弟子(でし)(そだ)てられるわけがない。


「ありがとうございます。」

ロッテは(ふか)(こうべ)()れる。

(わたし)、お師匠(ししょう)さんが(もど)ってくるまでこちらで()たせてもらいます。

本当(ほんとう)に心の広さに感謝(かんしゃ)します。


ところで、どうやってロボ丸を改良(かいりょう)したのですか?

ロボ丸はごはんが食べられなかったと思っていたんですが。」


そう、ロボ丸は上品(じょうひん)果物(くだもの)を口にしている。

「ロッテ様ガ、ワタクシヲ合成(ごうせい)サレタ時ノ事ヲオ話シシマシタ。

ワタクシニ人格(じんかく)形成(けいせい)シヨウト魔方陣(まほうじん)作成(さくせい)シ、AIト融合(ゆうごう)シヨウトシタ時ニ

ウッカリ精霊(せいれい)魔法陣(まほうじん)(ない)侵入(しんにゅう)シタ時ノ事デス。

ロッテ様ハナントナクイケルト思ッテ、ソノママ魔法陣(まほうじん)発動(はつどう)サセタラコウナリマシタト説明(せつめい)イタシマシタ。」


(ほほ)を赤くしてもじもじしながらロッテが(つづ)ける。

「なんとなくイケるかなぁって思ったんです。

いつも錬金術(れんきんじゅつ)は、思っているのと(ちが)結果(けっか)になっちゃって。

みんなはロッテならできるよって言ってくれるけど、

思った通りにできるようになりたくって師匠(ししょう)弟子(でし)()りしたかったんですぅ。」


多分(たぶん)それはなんとなくイケるはイケてないってことに気が付いたら解決(かいけつ)できると思うぞ。


ソファーでゴロゴロしていたワンコロも続ける。

「ロッテは失敗(しっぱい)ばっかりだから、心配(しんぱい)(ぼく)が見ててあげるの。」


子犬(こいぬ)保護者(ほごしゃ)発言(はつげん)されるとは。

中身(なかみ)災害級(さいがいきゅう)幻獣(げんじゅう)だけれど。


「おそらく、動力装置(どうりょくそうち)として一部(いちぶ)精霊(せいれい)がコアになってくれたため精霊(せいれい)魔力(まりょく)動力源(どうりょくげん)になったものと思われる。

その精霊自身(せいれいじしん)生成(せいせい)する魔力(まりょく)では()りないという事だと考えたんだ。

という事で、コアでも魔力生成(まりょくせいせい)可能(かのう)状態(じょうたい)外部(がいぶ)からも魔力(まりょく)変換(へんかん)してコアに蓄積(ちくせき)できるように少しいじっただけだ。

大したことはしていない。

外部(がいぶ)からの魔力供給(まりょくきょうきゅう)魔力(まりょく)(ふく)むものなら何でも大丈夫だ。

魔力(まりょく)()いものほど効率(こうりつ)よく摂取(せっしゅ)できる。

そのあたりはワンコロが(くわ)しく教えてくれた。大変優秀(たいへんゆうしゅう)知識(ちしき)豊富(ほうふ)なんだな。」


金属(きんぞく)精霊(せいれい)融合(ゆうごう)なんて聞いたことがない。

やれば出来(でき)るものでもないと思うんだが今度(こんど)(ため)してみる価値(かち)はある。

ただし、精霊(せいれい)(つか)まえることができればだが。


ロッテに説明(せつめい)した(おれ)(さら)注意事項(ちゅういじこう)()べる。

「そもそもメカやロボは外部(がいぶ)からのエネルギー供給(きょうきゅう)基本(きほん)だ。

ロボ丸の設定(せってい)として、食べ物を体内(たいない)に取り入れバイオ技術(ぎじゅつ)液状(えきじょう)にして燃料(ねんりょう)にしているとしたほうがいいだろう。

そしてあくまでもロボットだからAIで会話(かいわ)しているという設定(せってい)だと(みな)納得(なっとく)するだろう。そう間違(まちが)ってもいないしな。

あとはワンコロだが、訓練(くんれん)でお(はな)しできるようになったという設定(せってい)にした方がいい。

(した)構造(こうぞう)を見たが人類(じんるい)とよく()ている。

人間(にんげん)精霊種(せいれいしゅ)融合(ゆうごう)したんだ。

同じ原理(げんり)錬金術(れんきんじゅつ)実験中(じっけんちゅう)にたまたま(おおかみ)融合(ゆうごう)してしまったことにしよう。

偶然(ぐうぜん)産物(さんぶつ)だから再現性(さいげんせい)(ひく)いこととする。

しゃべる動物(どうぶつ)()しい(やつ)には(にせ)のレシピを(わた)すが、(あと)各自(かくじ)頑張(がんば)ってくれという方向(ほうこう)でいこう。

(かく)すとバレた時に大変なことになるからな。

すべてを(かく)すより本当(ほんとう)(かく)したい一部だけにした方が信憑性(しんぴょうせい)は高くなる。

言わなければバレない、調(しら)べなければバレない事以外は(かく)さないようにしよう。」


まて、お(まえ)ら。

キラキラした目でこちらを見るんじゃない。

大人の処世術(しょせいじゅつ)だ。

「これから一緒(いっしょ)()むことになると思うが、

ルールは“わからないことは聞くこと”だ。

相談(そうだん)でもいいしとにかく何かあったら話せ。

(おれ)薬師(くすりし)(いとな)んでいる。

一階は店舗(てんぽ)生活(せいかつ)スペースだ。リビングとキッチン、浴室(よくしつ)などがある。

地下(ちか)倉庫(そうこ)。二階は作業室(さぎょうしつ)(おれ)部屋(へや)師匠(ししょう)部屋(へや)がある。

それ以外(いがい)の使われていない部屋(へや)は好きに使っていい。


質問(しつもん)は?」


(たずね)ねた(おれ)にロッテが答える。

「ありがとうございます!

今は質問(しつもん)がありませんが、わからない事がでてきたらその都度(つど)聞きます!

ありがとうございます!」



こうして師匠(ししょう)()(おれ)たちの共同生活(きょうどうせいかつ)(はじ)まった。

波乱万丈(はらんばんじょう)予感(よかん)しかしない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ